借金500万円の多重債務者でも「コンビニでカネを返す瞬間は恥ずかしい」



―[負け犬遠吠え]―

ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。
それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。

マニラのカジノで破滅」したnoteで有名になったTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は29回。

 今回は、ちょっとお金を返してみたときのお話です。

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◆続・レイク

 レイクから借りた50万円くらいの金を返せずにモジモジ生活していると、3ヶ月後に簡易裁判所から手紙が来た。僕は私生活で電話に出られなくなるくらい徹底してどの電話にも出なかったので、多分これが最速だと思う。

 7種類近くの会社が手を替え品を替えあらゆる手段で連絡を取ってきたが、着信拒否もせずに全てやり過ごしていた。どんなイメージカラーの企業も僕の電話履歴の中では全て不在着信として赤く染まる

 今回は毎月1円の分割支払いの申請ということで返送したが、きっと通らないだろう。裁判所に電話して聞いてみると、

「裁判所にて債権者と債務者がお話し合いをできる場を設けます」

 とのことで、それではレイクの人と直接話さなくてはならないじゃないか、と少し嫌な気持ちになった。

 頭から、

「舐めてんじゃねえぞ、この野郎」

と怒鳴られてしまったら失禁するかもしれない。失禁は一度経験すると記憶から離れない。僕は海外で一度失禁してからというもの、強い感情の背後には尿意がついて回るのでオムツを履いて行こうか迷っている。

◆多重債務者は自分の借金額がわからなくなる

 さて、レイクとこうして向き合ってしまった以上、目につくのは他の借金だ。多重債務者としてレイクばかり相手にしていては他の会社が拗ねてしまう。というか、一斉にこれをやられたら堪らない。

 ところが、早速ネットで自分が今どのくらいヤバい状況なのか調べても、ほとんどの会社が「僕が今いくら借りていて、どうしなければならない」という情報を見えなくしていた。電話や手紙で督促をしているからそっちを見ろ、今なお利息は増え続けているんだぞ、と責められている気持ちになった。

 多重債務者が次第に自分の借金額がわからなくなるのは、一度支払いが遅れると残りの金額が見えなくなることも大きい。今の僕の借金総額は大体450万くらいだが、膨れ上がった利息を考えるともう少しあるだろう。そろそろ支払った利息分だけでバイクが買える。

◆現金に少し余裕があった

 最近はずっと日雇いのアルバイトをしていて現金に余裕があったので、毎月の返済金額が少ないところに試しに4,000円ずつ返してみることにした。生き残っているカードがあれば、これでまた借りることができる。アイフル、プロミス、Amazonカード、この3社は会社を辞めた後に借りた会社だから10万円ずつしか借りれなかった。

 返済金額は4,000円。一社一社は大した金額じゃなかったが、めんどくさいから全部払うのをやめてしまっていた。競馬やパチンコで一撃当たれば一括で返してしまおうと思っていたが、令和はツキがなかったのでその機会は訪れなかった。

 Amazonカードはそもそもカード自体が失効していて支払う事ができなかった。もう少し待ってくれたらこうして返し始めたというのに、もったいない。だが、ここはクレジットカードにも関わらずキャッシングの枠を最初からつけてくれた。その点では一番窮地を助けられたカードなので、きっと僕は彼らを忘れないし、いつかまた信用情報が回復した後に借りるだろう。

 アイフルとプロミスはもともと電話をあまりしてこなかった。彼らは自動音声での案内ばかりでそっけなく、3ヶ月も放置してるのにまるで僕に興味がないみたいだった。そんな風だと逆に返したくなるというのが男心というもので、

「こんなに借りてるのにまるで興味がないみたいだ、ふん、おもしれー会社……」

と思い始めてしまった。返済の駆け引きにおいて、僕の敗北が決まった。

◆返しに行くときって恥ずかしい

 どれだけ働いても何故か常に2万円以下しか入っていない財布から1万円札を取り出す。アイフルもプロミスもコンビニで返済ができるから、パジャマで家を出る。エレベーターで他の人と待ち合わせが被った時、金を返しに行く用事のためだけにマンションを出ると思われるのが恥ずかしくて、携帯を見ながら、

トマト、あれ、生協って今日何安かったっけ」

と独り言で嘘をつく。誰も聞いていないのに嘘をつく時、それは自分が恥ずかしいことをしている自覚があるときだ。つっかけたサンダルが見えないように服の裾を引っ張る。金を返しに行く瞬間は、目についた自分の全部が恥ずかしくなる。本当は借りに行く方が恥ずかしいのに。

 コンビニに入ってすぐにATMに向かう。このコンビニは雑誌コーナーの隣。誰も並んでいない。

 プロミスのカードを差し込む。画面に「ご返済・お借り入れ」の文字が出るや、すぐに後ろに人がいるか確認する。これも恥ずかしい瞬間の一つだ。

◆金額が選択できない

 1万円札だけ持ってきたから、開いた札入れに放り込む。4,000円だけ。4,000円だけ返したらまた借りれるようになるかもしれない。一縷の望みが成就するかもしれない瞬間は、ものの数秒だが3分くらいに感じた。

 金額が選択できない。選べるのは追加入金と、10,000円の返済だけだった。

 しばらく金を返しにATMに行ってなかったので忘れていた。コンビニATMで金を返そうとするとお釣りが出ない。

 ホットスナックを買って10,000円を崩し、お釣りを全部1,000円札でもらう。このうっかりはやりがちなので、そろそろ返済日が近づくみんなへの注意喚起だ。貧乏人ほど繊細なので、ここで10,000円が吸い込まれて絶望に落ちる可能性もある。多重債務者は綱渡りの生活を強いられているのだ。

 プロミスもアイフルも4,000円を受け入れてくれた。もしや、と思い借り入れ可能額を調べると、それぞれ3,000円の借り入れが可能だった。

 2,000円も損してしまったが、心は晴れていた。「筋」を通した気がして、コンビニの中で胸を張った。

◆催促は続く

 僕はもう信用情報が真っ黒に汚れてしまっているが、自己破産は今のところ考えていない。これはもうランナーズハイみたいなものだ。借金の返済という、当たり前のスタートラインに立つのを応援されているうちに、元々博打で作った借金を破産で踏み倒す事に抵抗ができてしまった。

 悪目立ちすると変な見栄が生まれてしまう。しばらくは、またSPAが金を貸してくれたりするまでは博打は我慢すると思う。

 真面目な僕は、借入枠の6,000円をすぐに引き出し、プレミアムモルツ・プラチナとやげん軟骨を買った。最近は家で食って飲むのが美味しい。郵便受けに入っていたセゾンカードの督促状は捨てた。

〈文/犬〉

【犬】
フィリピンカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitternoteカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。
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―[負け犬遠吠え]―

(出典 news.nicovideo.jp)

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