山梨県北杜市の實相寺は、境内の桜保全と維持管理のため、3月中旬〜4月中旬の約1ヶ月間、拝観料を導入する。実施期間は、桜の開花状況により変動するとのことだ。
拝観料は、一般500円、市内在住者300円で、中学生以下は無料。市内在住者の拝観料適用には、受付で身分証を提示する必要がある。
拝観料導入の背景
實相寺の境内に咲く樹齢2000年の「神代桜」は、長年多くの人々に親しまれてきた。しかし近年、その衰退が進み、境内の設備や他の桜も老朽化が進んでいる。加えて、維持管理の費用も年々増加しており、これまで通りの無料開放が困難になってきたのだそう。
そしてこの度、多くの人々に桜を楽しんでもらいながら、未来へと受け継ぐために、苦渋の決断ながら拝観料を導入する運びとなったとのことだ。
實相寺は、拝観者からの協力をもとに、桜の環境整備を進め、より良い境内づくりに努めていくとしている。
日本三大桜の一つ「神代桜」
「神代桜」は、樹齢2000年とも言われるエドヒガン種の古木で、日本三大桜の一つとされている。
伝説によると、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東国へ遠征した際この地に立ち寄り、記念にこの桜を手植えしたとか。また、鎌倉時代に日蓮聖人がこの地を訪れた際に、桜の衰えを見て憂い、樹勢回復を祈願したところ再生したと伝えられおり「妙法桜」の名でも知られている。
この桜は、大正11年に、国の天然記念物に指定。当時は、高さ13.6m、枝張り東西27.0m、南北30.6m、高さ1.5m地点の幹回りは10.6mの巨木だったそう。そして、平成2年には「新日本名木百選」にも指定されている。
この桜は、幾度となく自然災害にあい、最盛期の大きさに比べると小さくなったものの、高さ約10メートル、東方に太く力強い枝を伸ばし、周囲約12メートルもあり、それらを支える幹の姿からは「生命」を感じられるという。
實相寺について
實相寺は、日蓮聖人を開祖とする日蓮宗の寺院で、山梨県にある総本山身延山久遠寺の直末の寺院。元文元年(1735)および弘化四年(1848)に二度の火災に遭い、歴史的建造物や寺宝等は残っていないが、『甲斐国志』には、「仏堂、僧堂、番神堂、常唱堂、鐘楼、法蔵、総門等備ハレリ」とあり、多くの伽藍が建立されていたことがわかる。
境内には、神代桜のほか、地涌の桜(宇宙ザクラ)、滝桜の子桜、淡墨桜の子桜、身延山久遠寺しだれ桜の子桜など、多種多様な桜が植樹されている。
また、日蓮聖人の坐像が祀られている本堂、厄除け祖師堂、五穀豊穣の神様として広く信仰されている最上稲荷大明神が祀られている最上稲荷のほか、鐘楼や観音像などもある。
拝観料導入中に實相寺を訪れ、桜保全と維持管理に貢献してみては。
■實相寺
住所:山梨県北杜市武川町山高2763
公式サイト:https://www.jindaizakura.com
(Higuchi)