いんしゅう鹿野まちづくり協議会は、国土交通省の令和6年度空き家対策モデル事業に採択され、都築電気(※)協力のもと「空き家未来AIナビ」を開発した。
「空き家未来AIナビ」は、増え続ける空き家問題に対応するため、AIチャットボットを活用した新しい相談窓口。空き家問題は、初期対応がとても重要だ。同サービスは、空き家所有者がいつでも気軽に相談でき、円滑に担当窓口へとつなぎ、地方の空き家を1つでも減らすことを目指している。現在、α版を公開中で、今後、各地域の空き家事情に対応する形で展開予定だ。
地方で特に高い傾向にある空き家率
近年、日本の空き家問題は深刻化している。令和5年・総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家数は900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高となったことが明らかに。
特に地方部では、都市部よりも空き家率が高く、和歌山県・徳島県では21.2%、山梨県では20.5%と全国平均を大きく上回る地域も存在する。また、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家(実質的に放置された空き家)」も全国で385万戸に達し、その割合は地方で特に高い傾向にあることも判明した。
それらの背景のもと、空き家の管理や活用に関する相談の需要が高まっており、「空き家未来AIナビ」はこれらの課題を解決するために誕生した。
24時間365日対応で、気軽に相談可能
「空き家未来AIナビ」は、AIを活用した地域密着型の空き家相談窓口。 空き家の所有者が気軽に相談できる環境を提供し、問題の早期対応を促すことで、放置空き家の増加を防ぐことを目的としている。
窓口は、24時間365日対応でいつでも気軽に相談可能。遠方の空き家についても安心して相談できる。
最適な窓口を案内してくれるほか、税・登記・活用方法など、多様な質問にも対応。サービスを利用した人からは、「人には聞きにくいこと(家賃相場や空き家運用デメリットなど)が迅速に気兼ねなく聞けた」といった声があがっているそう。
また、サービス利用後には「サービスで得た情報をもとに周囲へ空き家活用の提言をしようと思った」、「家の将来について、色んな選択肢を持てるようになった」、「空き家を持つ人のそれぞれの気持ちや都合に沿った回答をしてくれるため、漠然と抱えた不安を和らげ、空き家に対する心持ちが前向きになった」といった声が寄せられている。
地域の実情に合わせた情報を学習させる
「空き家未来AIナビ」のサービス開発にあたり、鳥取県・鳥取市をはじめ、南部町・江府町・八頭町・真庭市・京丹後市の自治体担当者および、各地域で空き家の利活用に取り組む団体から協力を得たという。
同サービスは、地域ごとに異なる空き家問題に対応するため、現場で活動する人々が地域の実情に合わせた情報を学習させることができる点が強みだ。
また3月現在、鳥取県鳥取市鹿野町(いんしゅう鹿野まちづくり協議会)、鳥取県南部町(なんぶ里山デザイン機構)、鳥取県江府町(こうふのたより)、鳥取県八頭町(Yearning for Yazu Project)、岡山県真庭市(真庭市交流定住センター、北房未来づくりネットワーク)、京都府京丹後市(丹後暮らし探求舎)といった地域が活用されている。
これらの地域は、中山間地域に位置し、空き家の利活用に各地域団体が積極的に取り組んでいる地域だ。今後はさらに多くの自治体・地域団体と連携し、より広い地域での導入を推進していく考えだ。
この機会に、地域密着型AI「空き家未来AIナビ」をチェックしてみては。
いんしゅう鹿野まちづくり協議会:https://www.shikano.org
空き家未来AIナビ:https://www.akiyamirai.net
※都築電気は法人向けのDX推進等を行っている東京都のICT企業。「空き家問題」についての合同ワークショップを経て、いんしゅう鹿野まちづくり協議会は企画提案および技術監修を依頼している。
(江崎貴子)