本書は、2020年にBTSのVが紹介したことで大きな話題を呼んだ『家にいるのに家に帰りたい』(&books/辰巳出版)の著者クォン・ラビンが書き下ろした新作エッセイ。
夢や理想があるのに、現実はそうもいかない。ひとりの夜、急に寂しさの波が押し寄せてどうしようもなく苦しい。日々の忙しさに、自分の心がどこかにさまよってしまっているような気がする……。毎日に向き合い精いっぱい生きているからこそ、うまく生きられない瞬間があります。3月5日に&books(辰巳出版)から刊行された韓国エッセイ『死にたいんじゃなくて、こんなふうに生きたくないだけ』はそんな思いを一度でも感じたことのある人にそっと寄り添う言葉がちりばめられた一冊です。
死にたい=自分の人生を生きるのがこわい
生きていくのは、たやすいことではありません。だからこそ、「こんなふうに生きるなら、死んでしまいたい」という気持ちが頭をよぎることもあるのでしょう。
でも、もう少し深く心を見つめてほんのちょっとだけ考えを変えてみると、本当は「死にたいんじゃなくて、こんなふうに生きたくないだけ」と気づくかもしれません。
心には、本人でさえ気づいていない表と裏があるものです。
本当に恐れているのは「死」ではなく、じつは「自分の人生を愛せなくなる瞬間」かもしれません。
たとえ「生きたくない」と感じる日々が続いても、心の隅に「それでも生きたい」というかすかな火種が残っているのなら、その火を消さないで。それこそが、あなたがより良い明日を望んでいる証だから。
<プロローグより>
デビュー作『家にいるのに家に帰りたい』(&books/辰巳出版)で多くの読者が共感し話題を呼んだ著者クォン・ラビンさんが、時を経て20代後半から現在までの気持ちや思いをつづった本書。理想の自分と現実とのギャップ、孤独感、他者との人間関係、パートナーとの愛と別れ、毎日を懸命に生きるからこそ生まれる葛藤や悩み、そんななかでも自分を愛する努力。ラビンさんのまっすぐな言葉は、同じように日常を過ごしながらも時に悩み葛藤し幸せを求めるわたしたちに響きます。
Chapter1 「だいじょうぶ」が 「本当にだいじょうぶ」になるまで
「大丈夫」 「元気だよ」 「ご飯もしっかり食べて、最近はぐっすり眠れてる」
愛する人たちに心配をかけたくないから、安心してほしいから、だからこそこんな噓をつく。
だけど、話し方を変えても声でバレる。
元気じゃないし、ご飯もろくに食べていないし、ちゃんと眠れていないと、愛する人はわかってる。愛しているから。
愛していれば、相手の小さな変化にも気づく。
あえてそれ以上は聞かずに、気持ちを伝える手紙を書いたり、元気が出るものを送ったり。延々と小言を並べたてるのも、時には沈黙を保つのも、思いやりと愛があるから。
愛する人にはすぐバレてしまう、3つの噓。
<3つの嘘 より>
Chapter2 また泣ける日を願いながら
恋しさとは、幸せだった記憶のなかで湧きあがる感情だという。
でも、幸せでなかった瞬間さえ恋しいと思うなら、それは自分でも気づかないうちにすべての瞬間を愛し、幸せだったということ。
もし、恋しいと思う瞬間がたくさんあるのなら、それは良い人生を歩んできたということ。 食いしばり、耐えぬき、一生懸命生きてきたという証。
<恋しさとは より>
Chapter3 あなたの記憶
あなたという人はつかもうとすると、指のあいだからするりと逃げてしまう。
抱きしめようとすると、腕の隙間から消えてしまう。
かつてわたしは、あなたを逃すまいとぎゅっと握りしめつづけていた。
でも、一滴二滴とこぼれて落ちた場所をぬらすだけ。
時が経つと、それさえも蒸発してしまった。
どんなにあがいてもつかめない。
だからと言って、抱きしめられるわけでもない。
そもそもわたしの考えが間違っていたのだ。
あなたは誰のものでなく、完全にあなただった。
<わたしのものだと思っていたけど、 間違っていた より>
Chapter4 これからわたしに会いに来る愛に
恋がひとつ終わると、自分を失ったような気持ちになる。
人生の意味とは何なのか、幸せとは何なのか、記憶を失ったような感覚になる。
でも、その人に出会う前を思い出すと、わたしは大丈夫だった。
わたしを大丈夫なわたしに戻してくれるのは、他人ではない。
時間も苦痛を解決してくれない。
崩れたままうずくまっているのではなく、
内なるわたしと向きあいながら、
再び自分を積み上げていけばいい。
足元から、ゆっくりと。
恋や別れは競争ではないから、
心を取り戻すのに近道はないのだから。
【著者略歴】
クォン・ラビン
わたしには⽂章のなかで⽣きる⼈たちがいる。⼀瞬の出来事が永遠に刻まれている⼈たち。もう安否を問うことすらできない関係になってしまっても、つづられたことばのなかで、その瞬間は⽌まったまま。その⼈たちは、わたしの過去であり、現在であり、そして未来になる。著書に『家にいるのに家に帰りたい』(⼩社刊)『등지고누워사랑에기대다』(未邦訳) Instagram @pm_rabin
桑畑優⾹(訳)
翻訳家・ライター。早稲⽥⼤学第⼀⽂学部卒業。1994年から3年間韓国に留学、延世⼤学語学堂、ソウル⼤学政治学科で学び、『ニュースステーション』のディレクターを経て独⽴。映画レビュー、K-POPアーティストの取材などをさまざまな媒体へ寄稿。訳書に『家にいるのに家に帰りたい』『あなたを応援する誰か』『それぞれのうしろ姿』(⼩社刊)、『韓国映画100選』(クオン)、『BTSを読む』(柏書房)、『成功したオタク⽇記』(すばる舎)、監訳書に『BEYOND THE STORY:10-YEAR RECORD OF BTS』(新潮社)など。
チョンオ(絵)
韓国ソウル市⽣まれ。会社勤めのかたわら、イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活動。⾃分にとって絵を描くことは、⼼に灯をともすこと。⽇々を前向きな気持ちで過ごし、多くの⼈に夢を与えられるような絵を描き続けたいと願っている。
【書籍情報】
書名:死にたいんじゃなくて、こんなふうに⽣きたくないだけ
著者:クォン・ラビン
発⾏:2025年2⽉5⽇
判型・ページ数:四六変型判/192⾴
定価:1,430円
刊⾏:&books(⾠⺒出版)
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