【東京都中央区】画風をもたない孤高の日本画家・堀文子氏の展覧会「堀文子のデカルコマニー」開催!

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「おんな」堀文子氏 1965年 65.0×90.0cm ©堀文子記念館

生涯を通じて変化を恐れず、自らの表現を追求し続けた日本画家・堀文子氏の知られざる創作の一章である「デカルコマニー作品」に焦点を当てた初の展覧会が、銀座・ナカジマアートにて5月29日(木)より開催される。

開廊30周年を記念する同展では、1960年代に制作された代表作をはじめ、未発表作や書籍の挿絵も含めた貴重な作品群を紹介する。入場料は無料だ。

堀文子氏が出会ったデカルコマニー技法

「デカルコマニ―」堀文子氏 1965年 24.6×16.8cm ©堀文子記念館

堀氏の作品は、作家自身が「画風をもたない」と語るように、時代とともに絶えず変化し続けてきた。その中でも特に異彩を放つのが、1960年代に制作されたデカルコマニー技法による作品群だ。

同氏は1960年42歳のとき、最愛の夫を亡くした喪失感から脱するため、約2年半にわたりエジプト、ギリシャ、イタリア、フランス、アメリカ、メキシコなど海外を放浪する。

長い旅を終えて帰国後、カルチャーショックから一時は絵を描くことができなくなったが、やがてデカルコマニーという技法に出会い、その偶発性に惹かれて心象風景を描くようになる。

長い間保管されていた作品が展覧会に登場

挿絵使用作品 堀文子氏 1965年頃 20×12cm ©堀文子記念館

デカルコマニーは、紙と紙の間に絵の具を挟み、圧力をかけることで偶然に生まれる模様を用いた表現技法。意図せず現れる地層のような模様、空白、いびつな形は、不思議な世界を生み出し、鑑賞者の想像力を刺激する。

この制作体験について同氏は、「自分の中に溜まっていたものが流れ出すように、いくらでも描けた」と語っている。

この技法は、海外滞在中に訪れたメキシコの印象をもとに描かれた大作「チアパスの夜(1966年)」や、「魔王の館(1964年)」などにも用いられ、1965年に日本橋高島屋で開催された初個展「堀文子作品展」に多数出品された。

しかし当時の同氏のインタビューで、これらのデカルコマニー作品について「明らかに売れない」と話しており、作品の多くは堀氏のアトリエに長い間保管されていたのだ。

挿絵使用作品 堀文子  1965年頃 10.8×18㎝ ©堀文子記念館

同展では、その初個展に出品された作品に加え、未発表の作品や書籍の挿絵に使用された作品も展示する。

また、6月13日(金)・14日(土)の各日13:00~15:00には、「デカルコマニー 体験教室」が開催。参加費は1,500円(税込)で、定員は各回6名。申し込みは電話、あるいはE-mailから。電話とメールアドレスはナカジマアート問い合わせページから確認を。

開廊30周年のナカジマアートで記念企画展が開催

会場となるナカジマアートは、銀座五丁目・西五番街を拠点とする画廊で、絵画、特に日本画を中心に取り扱っている。1995年の開廊以来、日本画の魅力を広く伝える場 として、巨匠から若手まで幅広い作家の作品を紹介してきた。

開廊当初より、新作展を開催していた日本画家の堀文子氏をはじめ、片岡球子氏、平山郁夫氏など、日本画の歴史を築いてきた作家の作品を扱ってきた。近年では、若手作家の新たな挑戦の場として企画展を開催し、次世代の日本画を支える取り組みも行っている。

2025年で開廊30周年を迎えるにあたり、Part.1「堀文子 デカルコマニー」を皮切りに、これまで収集してきた作品を一堂に集めた「ナカジマアート開廊30周年記念企画展」を開催する。

Part.2「東山魁夷 版画 海と山」では、版画「海と山」シリーズ全10点を同ギャラリーで初めて展示。

Part.3「日本画家の挿絵」では、武部雅子氏が辻原登氏著の小説「卍どもえ」の挿絵を手がけた原画をはじめ、新聞や雑誌に描き下ろした挿絵原画の数々を紹介する。

Part.4「ナカジマアートコレクション展」では、小磯良平氏、小林古径氏といった巨匠による名品のほか、近年活躍する作家による挑戦的な作品、そして初公開となる貴重な作品も多数展示販売する。

「堀文子のデカルコマニー」展で孤高の日本画家・堀文子氏の世界観に触れよう。

■開廊30周年記念 part.1 堀文子のデカルコマニー詳細
会期:5月29日(木)~6月18日(水)
営業時間:月~金11:00~18:30、土11:00~17:00
休廊日:日・祝
会場:ナカジマアート
住所:東京都中央区銀座5-5-9 アベビル3階
ナカジマアート公式サイト:https://www.nakajima-art.com

ナカジマアート問い合わせページ:https://www.nakajima-art.com/otoiawase.html

(佐藤 ひより)

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