NCT/WayVのメンバーTENが、初の日本ソロライブツアー「2025 TEN JAPAN TOUR 1001 'TIME WARP'」を開催し、5月31日にLINE CUBE SHIBUYAにて感動のフィナーレを迎えた。
開演時間を少し過ぎた頃、場内に流れていた「Silence」のサイレン音が、まるで物語の幕開けを告げるように大きなボリュームで響き始める。そして、会場がファンの期待に包まれる中、ビジョンには、アンティークショップに立ち寄るTENの姿が映し出された。彼が古びた箱を開けると、中から現れたのは一つの懐中時計。TENが時計の針を回すと、その瞬間、空間がゆがみ、TENの姿がふっと消え去る。そして、時をさかのぼるように「2025」から「1900」へと数字が巻き戻っていく。
重厚で壮麗な音楽と共にビジョンの中心がゆっくりと真っ二つに割れ、その隙間から眩い光が漏れ出すと、シルエットとして浮かび上がるTEN。ファンの歓声に包まれながら、ゆっくりとステージ中央へと歩みを進める彼の顔は、白く柔らかなバックライトに照らされまだはっきりとは見えない。そして次の瞬間、会場中のライトがTENを射抜くようにフォーカスすると、TENの端正な表情がくっきりと浮かび上がると共に、会場からは割れんばかりの歓喜の悲鳴が巻き起こった。
そして、TENがまるで空気を切るようなシャープな“マイケル風”ダンスを繰り出すと、会場の視線を一瞬にしてさらう。グルーヴ感あふれるシンセとファンキーなギターサウンドが会場を包み込む中、「自分に惹かれると危険」と警告する楽曲「Dangerous」を披露。ファンはすでにその世界観に没入し、もはや「危険」と言われても、あらがうことなどできないほど魅了されていた。
「Burn It Up」では、「みなさん! レッツゴー!」の掛け声と共に、「♪舞い上がれ天高く」の歌詞に合わせて、蝶が羽ばたくようにしなやかな手の動きとダイナミックなダンスでさらなる熱狂を巻き起こす。
「All Good」では一転、ヴィンテージピアノの温もりある音色に乗せて、ステージに灯された街灯をすり抜けながら、日常のささやかな幸せや前向きな想いをそっと届けるように、感情を込めた優しい歌声を響かせた。
「みなさん、渋谷公演へようこそ!」と満面の笑みを浮かべたTENは、続く「Lie With You」でロマンチックなムードを演出。椅子の背もたれに寄りかかったり、テーブルの上に座ったりしながら、ダンサーと楽しく絡みつつ柔らかで甘い歌声を届ける。そして、「みなさん、一緒に!」の声で左右に手を振ると、ペンライトが揺れる景色が広がった。その優しい笑顔は「Living Now」にも続き、弾むような軽快なリズムと耳に心地よい歌声で、ファンの心を優しく溶かしていく。
しかし空気は一変。ステージではダンサーのパフォーマンスが繰り広げられ、中央の階段に整列。サイレンのようなリフレインが場内に響き渡ると、階段の頂上にTENの姿が浮かび上がる。そこから階段を降りていき、クールなムード漂う「Enough For Me」のパフォーマンスへ。会場は一気にスタイリッシュな世界へと引き込まれた。
ミュージカルのように豊かな表情と動きで魅せる6曲を、息つく間もなく続けて披露し終えると、ゆっくりと息を整え、観客に語りかけるTEN。
「みなさん、盛り上がってますか!」という日本語での呼びかけに、場内からは大きな歓声が沸き上がり、ファンの熱い反応に「ありがとうございます」とにっこり。「みなさん、こんばんは、僕はTENです! きょう皆さんに会えて嬉しいです。きょうは土曜日ですから、僕の気分は本当にいいです。週末だから(笑)。でも、ちょっと寂しい気持ちです。きょうはツアーの最後の公演です」と名残惜しさを滲ませつつも、「でも、いつも頑張ります! その前よりもっともっと楽しいステージをお見せします。僕にエナジーくださいね」と笑顔で続ける。ほぼ日本語で伝えようとする彼の一生懸命な姿に、客席からは思わず「かわいい!」という声がこぼれ、会場が優しい笑いに包まれた。
「このステージは、僕とみなさんと一緒に作る公演です。外の天気がどうであれ、雨が降っていたとしても、この会場の雰囲気は晴々としています。なので、これは僕からのラストプレゼントです。最後まで一緒に楽しんでください。きょうも特別なステージがたくさんあるからみなさんも一緒に頑張りましょう」と伝え、「約束、いち、にー、さん」と小指を見せて無邪気な表情を浮かべると、ファンの「かわいい」という声が再び場内に響き渡った。
ツアー最終日ということで、日本のアルバムの制作ビハインドを語ってくれることに。話題は、ベッドで撮影した写真のエピソード。撮影中、カメラマンがシャッターを切るたびに「かわいいですね」と連発していたそうで、TENがその時のカメラマンの口調を再現しながら披露。そんな様子を見たファンからも「かわいい」という声が上がり、TENも「みなさんも本当にかわいいです」と満面の笑顔を見せ、会場には「かわいい」が飛び交う和やかな空気が広がった。
さらに、ジャケット撮影時のもうひとつのエピソードでは、夕方4〜5時ごろ、公園で撮影した際の出来事を明かす。メイクをバッチリ決めた状態で、クールな表情やポーズをとっていたところ、近くで遊んでいた子供達に「あのおじさん何してるんだろう?」というような視線を向けられたという。「寒いから早く撮影を終えて次の撮影場所に行きたかったので、オーバー気味にポーズをしていて、その日は自分の限界を超えていました(笑)」と、当時の様子を再現し、会場の笑いを誘った。
「準備したから、そろそろ次のステージに行きましょうか。大丈夫ですか? 今日もよろしくお願いしまーす」と丁寧にお辞儀をすると、ファンも思わず一緒にお辞儀。その姿にTENも「かわいい」とうれしそうな声を漏らし、まさに“かわいい”が何度も交わされる、あたたかな空気に包まれたひとときとなった。
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