【東大阪】朝の景色に、厚焼き玉子の匂いがした。【池田屋珈琲】

LOCAL

商人の町・布施。アーケードの南入り口すぐに、池田屋珈琲はある。
フチの欠けた灰皿、ゲーム機のテーブル、シャキッとしたきゅうりのサンドイッチ。全部がちゃんと、この町の時間に寄り添ってる。
喫茶店は、ただの喫茶店じゃない。誰かの朝であり、休息であり、ちょっとした社交場でもある。
大阪の下町で、そんな景色を切り取ってみた。

商人たちのまちの、入り口で

朝8時、布施本町商店街のアーケードに光が差し込むころ。
“池田屋珈琲”には、すでに常連らしきおじさんが新聞を開いている。コーヒーの湯気がちょっと揺れて、それを合図にモーニングの時間が始まる。

昔から布施は、商人のまちだ。
小売りや製造業に卸業。朝が早い彼らにとって、喫茶店は単なる飲食の場じゃない。仕入れと開店の間のほんの30分、身体と気持ちを整える小さな基地みたいなもの。

池田屋珈琲は、そんな“間”を受け止めてきた店だ。

“ミックス”に、町の空気が挟まってる

まずは、名物のミックスサンドから。
ふわふわの白パンに、分厚い玉子焼きがどっしり挟まっている。きゅうりのシャキシャキと、マーガリンのコクがちょうどいいバランスで、口に入れると、朝の身体がゆっくり目を覚ましていくような気がする。

関西の喫茶店といえば、この厚焼き玉子サンド。
関東の「ゆで卵にマヨネーズ」ではなく、きちんと“焼いてある”ところに、手間を惜しまない関西らしさが見える。

さらに、小さなサラダも無料で。別に華美じゃないけど、ちょっと嬉しい。
こういうさりげない“おまけ”に、町の人情みたいなものを感じる。

昔のまま、変わらずにある景色

 

店内に入ると、目に飛び込んでくるのは年季の入った螺旋階段、模様入りのレトロな床、壁際に積まれた雑誌。
そして何より、テーブル型のゲーム機。今では1台となったそれは、かつてゲーム喫茶として使われていた名残だ。

 

喫茶店というよりも、「昔からそこにある空間」。
時間の流れとともに役割が少しずつ変わっていっても、町に馴染んだ場所は、そのまま“景色”になっていく。

「変わらないね」なんて、誰かがぽつりとこぼす声が聞こえた気がした。

自家焙煎と、もう一杯の余白

池田屋珈琲のもう一つの顔。それは自家焙煎の豆を扱う業者としての顔だ。
焼きたてのパンも、自家製の豆も、全部自前。だからこそ、香りも食感も、どこか誇らしげだ。
ホットコーヒーは、1杯おかわり無料。
せかせかした朝には少し贅沢すぎるけれど、2杯目が本番みたいなところもある。

新聞を閉じたおじさんが、もう一杯を前にちょっとだけ姿勢を正している。その背中が、なんだかいい。

SEKAI HOTEL Fuseの“朝”でもある

実はこの池田屋珈琲、SEKAI HOTEL Fuseの朝食会場でもある。
宿泊ゲストは、SEKAI PASSを見せるだけでこのモーニングを無料で楽しめる。(※朝食付きプランをご予約のゲストのみ)

 

旅の朝、知らない土地の喫茶店で、知らない人たちと肩を並べて過ごす時間。
それは“観光”ではないけれど、なぜだか強く記憶に残る“旅の風景”になる。

朝は、みんなのもの

商人の姿が少なくなった今でも、池田屋珈琲は朝からにぎやかだ。
マダムたちが近況を話し、おじさんたちが黙ってサンドイッチを頬張る。
そんな光景の中に、宿泊客がふと溶け込んでいく。

観光地ではない。でも、確かにこの町の朝がここにはある。
派手さはない。でも、日常ってこんなふうに、じんわり身体に染みてくるものかもしれない。
サンドイッチのパンがふわふわだった朝のこと、きっと何年かしても、ふと思い出すような気がする。

ライター紹介

SEKAI HOTEL Deep Osaka Experience(SEKAI HOTEL 大阪布施)
東大阪・布施商店街の空きテナントを客室にリノベーションし、近隣の飲食店や銭湯での”日常”を旅の一部として楽しむ「まちごとホテル」。観光地では味わえない、まちの日常の魅力を発信しています。
公式HP:https://www.sekaihotel.jp/area/fuse
Instagram:https://www.instagram.com/sekaihotel

    

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