日韓の伝統を融合した革製ブーツ「+Z / Panchoppari」販売開始。国際デザイン賞受賞。

日本の製靴工房「吉靴房(きっかぼう)」とアートコレクティブ「HUMAN AWESOME ERROR(ヒューマンオウサムエラー)」は、日韓の文化を融合した履物「+Z / Panchoppari」を、11月3日(月)より一般販売向けに公開している。

日韓の伝統が美しく融合した履物

「+Z / Panchoppari」は、日本の伝統的な履物を再解釈し、現代的な履物へと昇華させている京都・西陣の製靴工房・吉靴房と、世の中に生ずるエラーから新たな視点を与えるアートコレクティブ・HUMAN AWESOME ERRORとのコラボレーションによって誕生した。

足袋から着想された中央のプリーツが印象的な革のパターンと、それを覆うような朝鮮半島の伝統的な草鞋であるチプシンを模したスリット状のアクセントが、一足の靴に美しく融合しているのが特徴。

これにより、和服、韓服どちらの装いにも合わせられる仕上がりとなっている。

このデザインは、日本と在日コリアンの間に生まれた人間の感覚から始まったもの。日本と朝鮮半島、どちらの感覚も持っていながらどちらでもないという複雑な感覚を、何かを断定するような言葉ではなく、曖昧なものは曖昧なまま受け入れられるように、違和感なく二つの要素が掛け合わされた。

吉靴房の持つ革の技術力と和の知見と、HUMAN AWESOME ERRORのリサーチによってデザインの検討が重ねられ、完成した靴は2023年には韓国ソウルで行われる国際賞、K DESIGN AWARDを受賞している。

このブーツの製作には、革靴の製作技術や知識が活かされており、高度な革のパターンニングが実現した。

靴底に使用する革底からシームレスに革紐を取り回し、チプシンの縦型のスリット部分の端とノット(結び目)を作ることで、装飾的な意味だけではなく、足袋のシルエットを足の動きに合わせて支える構造的な仕組みを開発している。試作段階で検証を重ね、細部の具体的なシルエットに至るまで型紙が詰められた。

価格は¥149,600(税込・送料別)。製作は発注から完成まで約6ヶ月程度かかる。また、利用者の足にぴったり合わせるため、3Dデータの送付かアトリエでの足の計測を推奨している。

日本における移民政策は限定的ではあるものの、中長期の定住者は増加傾向にあり、2025年6月時点では395万人(※)と、過去最高の人数が記録されている。

これまでの日本の人たちが望むとも望まざるとも、日本と別のルーツの間に生まれる子供は今後も増えていく見通しの中で、多国籍のルーツを持つ個人の複雑な気持ちに寄り添うための一つのあり方として、この「+Z / Panchoppari」が存在できれば良いと考えられている。

吉靴房は、製靴家・野島孝介氏が手づくり靴の製作を行う京都西陣のアトリエ兼ショップ。伝統文化の延長線上にある「日本の革靴」を形にするべく吉靴房が生まれた。

剣道を20年以上専門でやってきた作り手だからこそ掲げられるテーマだと確信し、日本に古来から伝わる形を現代の生活に合うようにデザインに昇華し、革靴の技術と合わせながら製作をスタート。ヌメ革を基本素材とし、目指すのは畳に素足が触れた時の開放的な感触の心地よさだ。

靴とは、歩行の道具であると同時に、ファッションの決定的要素を持つ機能ある道具となる。

吉靴房の靴作りは、各個人へ思いやりと経験と個性を纏う特別な履物を提供することにあり、靴作りに必要な非常に多くの工程の中で、デザイン、設計、裁断、製甲、釣り込み、底付け、仕上げという全ての過程を手作業による製作で行っている。

HUMAN AWESOME ERRORは、アーティスト、エンジニア、研究者、工芸家たちとともに、社会を取り巻く仕組みのエラーをおもしろがり、世界を捉え直すヒントを抽出する活動体。

現代、引き続きエラーだらけのテクノロジーやシステムを、人間はどのように受け入れて生きていくことが出来るだろうか。と投げかけている。

日本と韓国の伝統が融合した唯一無二の一足を、ファッションに取り入れてみては。

■吉靴房
住所：京都府京都市上京区大宮通寺之内下ル花開院町111-2
営業時間：金・月/10:00〜16:00、土・金/14:00〜17:00
公式サイト：https://kikkabo.info

HUMAN AWESOME ERROR公式サイト：https://hae.tokyo

(※)法務省出入国管理局ホームページより

(丸本チャ子)