西東京市にある下野谷遺跡は、平成27年3月10日に国史跡に指定され、令和7年に10周年を迎えた。節目となる今年は、1年を通し、より多くの人に遺跡の魅力を感じてもらえるように、「史跡指定10周年記念事業」を複数予定している。
また、西東京市HPにて、これまでの10年の歩みを公開中だ。
下野谷遺跡の特徴

発掘状況
下野谷遺跡は、今から約5千年前から4千年前の縄文時代中期に作られた、東西2つの集落が隣接する南関東最大級の集落遺跡。西東京市東伏見二丁目、三丁目、六丁目地内に所在する。
都市化の進んだ市街地に、縄文時代の大集落がほぼ全域残されていることは非常にまれであり、遺跡の規模も大きく内容も豊かであることから、未来に残すべき貴重な文化遺産として西集落の一部が国の史跡に指定された。
集落は、土坑(お墓と考えられる穴)群のある広場を囲むように、住居跡や掘立柱建物(倉庫などと考えられる建物)群などが並ぶ形で構成されており、縄文時代中期の典型的な「環状集落」という構造だ。
また、環状集落が谷を挟んで複数存在しており、「双環状集落」と呼ばれる拠点的な集落の特徴もある。

出土した縄文土器

深鉢形土器(鍋などに使われた)
このような形態や、出土している土器から分かる集落の継続期間は1,000年間と非常に長い。加えて、住居跡や土坑が密集して見つかっていることなどから、石神井川流域の拠点となる集落だったと考えられている。
現在の下野谷遺跡
下野谷遺跡では現在、「みんなでつくる 成長する史跡」をスローガンに、調査・整備・保存と併せ学習の場としての活用を進めている。
例えば、遺跡を地下に保護する形で、西集落の一部を整備し、竪穴住居などを復元。毎週日曜日午前10時~午後4時30分には、竪穴住居内部見学ができる。
また、整備地内では縄文時代の植生も復元。クリやクルミなどの落葉広葉樹など縄文人が好んだ植物も観察できる。
さらに、出土した遺物の一部は、廃校を利用した西東京市郷土資料室で展示中だ。

エントランス説明板
そして、令和2年11月~令和3年1月には、エントランスゾーンの一部の整備を目的としたクラウドファンディング型ふるさと納税による寄附を募集し、目標額200万円を大きく上回る4,740,145円の寄附を集めた。
令和5年には下野谷遺跡整備地の愛称を一般公募。10月に開催された「したのや縄文の里 秋まつり」において、応募総数129点の中から「したのや縄文の里」に決定し、市民の憩いの場となっている。
このほか、遺跡の概要や復元CGを見られるアプリ「VR下野谷縄文ミュージアム」、遺跡から出土した土器の3D画像を見られるサイト「西東京市図書館/西東京市デジタルアーカイブ」も展開中だ。
史跡指定10周年記念事業

現地解説会の様子
史跡指定10周年記念事業では、複数のイベントを用意。イベント第1弾の現地解説会は終了したが、今後も多彩なイベントを予定している。
5月18日(日)午前10時~午後3時には、春イベント「縄文のムラで春風と遊ぼう!」を開催。竪穴住居や縄文の植生などの解説のほか、現地でのVR体験、縄文ファッションショーなどを実施する。
10月には、例年1,000人を超える来場者があり、縄文時代の多種多様な体験ができる秋イベント「したのや縄文の里 秋まつり」を開催。専門家による出土品の解説をはじめ、火おこし、弓矢などの体験、和太鼓やバンド演奏などを企画している。
12月頃には、「下野谷遺跡国史跡指定10周年記念シンポジウム」を開催予定だ。
このほか、「したのや縄文の里で縄文時代の植物の生育」「遺跡ガイドの育成」「竪穴住居の建築に向けた研究」「下野谷遺跡を応援する商店や商品のブランド化」など、さまざまな活動を予定している。
西東京市長の池澤隆史氏は、「令和7年度は記念行事やイベントを通して、市内外への情報発信力を強化していきます。また、今後も市民の皆様や関係団体とも連携しながら、地域の方が集い学べる場所としての活用と周知に取り組んでまいります(一部抜粋)」とコメントした。
史跡指定10周年記念事業の企画を通して、下野谷遺跡の魅力に触れてみては。
■下野谷遺跡
所在地:東京都西東京市東伏見二・三・六丁目地内
面積:約134,000㎡
主な時代:旧石器時代・縄文時代・近世・近代
西東京市HP:https://www.city.nishitokyo.lg.jp/index.html
VR下野谷縄文ミュージアム:https://www.shitanoya-jomongate.jp
西東京市図書館/西東京市デジタルアーカイブ:https://adeac.jp/nishitokyo-lib/top
(Higuchi)
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