八坂女紅場学園・祇園甲部歌舞会は、4月1日(火)~30日(水)の期間、祇園甲部の芸妓舞妓が京都の名所を背景に舞う、令和七年 第百五十一回公演「都をどり」を、祇園甲部歌舞練場にて上演する。
芸妓舞妓たちが魅せる舞の公演「都をどり」
「都をどり」は、毎年4月中に1カ月間公演を行う、京都最大の花街・祇園甲部の約50名の芸妓舞妓たちが魅せる舞の公演。通常はお座敷でしか会えない芸妓舞妓だが、「都をどり」は、料理や酒とともに芸妓舞妓のおもてなしを提供するお茶屋さんと縁がない人でも鑑賞できる。
公演では、舞を舞う立方(芸妓舞妓)、演奏を行う地方(芸妓)、鳴り物(お囃子)を受け持つ芸妓の全員が呼吸を合わせ、華やかで洗練された舞の世界を演出。他の演劇公演と異なり、一度も幕を下ろすことなく行われる舞台転換が特徴だ。
衣裳の艶やかな美しさは唯一無二
また、毎年新調される京友禅(着物)と西陣織(帯)匠の手で作られる、衣裳の艶やかな美しさは、唯一無二。振付は、明治5年の創始当初から変わらず「京舞井上流」が担っており、現在は人間国宝五世井上八千代が直接指導している。
舞だけではなく、三味線・唄・鳴物は生演奏、曲も毎年書き下ろされている中に、変わることなく伝え継がれる伝統芸能を全身で感じられるだろう。
令和七年公演の演題は、『都風情四季彩』
毎年テーマが変わる「都をどり」の令和七年公演の演題は、『都風情四季彩(みやこのふぜいしきのいろどり)』。昨年「都をどり」は、記念すべき150回目の節目の公演を迎え、京都の春の風物詩としての新たな歴史を刻んだ。
今年は次の大きな節目である創始200年に向けて、今一度原点に立ち返り、京都の名所を巡る内容の構成だという。「ヨーイヤサー」の掛け声で幕開けを告げ、揃いの明るい浅葱色の着物で一斉に登場する総をどりと、中ばさみ(別踊)と呼ばれる芸妓舞妓の場面全八景から構成される1時間の舞台で、四季の彩を表現する。
五条橋では牛若丸と弁慶の勝負の様子を、宝鏡寺では雛遊び、清水寺では紅葉の背景に季節の趣を感じられる優雅な舞を披露。8景では、御鎮座130年を迎える平安神宮の満開の桜の元で、華やかなフィナーレを飾る展開だ。
今年も諫山宝樹氏がポスターを制作
「都をどり」のポスターは、時代を代表する日本画家が毎年制作している。
今年のポスターは、昨年に引き続き諫山宝樹氏が祇園甲部の舞妓を描いた。
祇園町のシンボル・祇園甲部歌舞練場
「都をどり」の舞台である祇園甲部歌舞練場は、国指定登録有形文化財で祇園町のシンボル。2年前に令和の大改修を終え、建設当初の姿を残しながらも、最新の設備を取り入れた観劇の場を提供している。
格天井や両花道など当初の趣はそのまま、歴史を感じられる設えだ。
併設された八坂俱楽部の庭園では、経年変化からの修復作業が行われ、明るく日が差し込む風情ある庭園が蘇った。
公式HPでチケット販売中
「都をどり」の観劇チケットは、「茶券付一等観覧席」7,000円、「一等観覧席」6,000円、「二等観覧席」4,000円、「学生料金(二等席限定)」2,000円(全席指定・税込)。公演プログラムは、公演プログラムは1,000円だ。
「茶券付一等観覧席」を購入した人は、公演前にお茶席にて、京風島田まげを結い黒紋付の衿裏返しという正装で芸妓が披露するお点前を見ることができる。
お菓子とお茶を味わいながら、おもてなしの心を感じてみては。なお、「都おどり」公演に関する情報は予告なく変更になる場合があるので、最新情報・詳細・注意事項は公式HPでチェックしよう。
令和七年 第百五十一回公演「都をどり」は、京都の豊かな歴史と文化の魅力を知りたい人、初めて伝統芸能に触れる人も楽しめ、京都の春の訪れを感じられる華麗な公演。
普段お座敷でしか会うことができない芸妓舞妓による舞を、この機会に堪能してみては。
■令和七年 第百五十一回公演「都をどり」開催概要
会期:4月1日(火)~30日(水)
休園日:4月15日(火)
公演数:1日3回公演(各公演約1時間) 1回目12:30~、2回目14:30~、3回目16:30~
会場: 祇園甲部歌舞練場
住所:京都府京都市東山区祇󠄀園町南側570-2
公式HP:https://miyako-odori.jp/miyako
(佐藤ゆり)