埼玉県草加市では、放置された物件の新たな使い手を探す新事業「わがままハウスプロジェクト」を始動した。
草加市のまちづくりに関する取り組み
草加市は、10年前からリノベーションまちづくりという事業を進めてきた。草加駅東口旧道沿道エリアを皮切りに、今では谷塚駅周辺エリアや新田駅周辺エリアにも少しずつ広がりを見せている。
しかし、これまでのリノベーションまちづくりはあくまで産業振興の一環として取り組んでおり、空き家対策の部署との連携はしておらず、広がりは限定的だった。
そこで、空き家対策部署である住宅政策課とリノベーションまちづくりの担当部署である産業振興課がタッグを組み、「わがままハウスプロジェクト」を立ち上げ、空き家や空き店舗等の利活用を市内全域に拡大し、草加市全体の価値向上を目指すことになった。
希望の条件に合った使い手を探す
草加市には、市場に出せば売れる状況にも関わらず、空き家や空き店舗等となっている物件が少なからず存在するという。
その背景には、「実家を相続したものの、愛着があって手放せない」「遺品の整理が大変でとりあえずそのままにしていたら長期間経ってしまった」「親が施設に入居してるため、現在は使用していないが手放せないで放置している」といった様々な事情や理由があるようだ。
草加市では、そんな様々な事情を抱え放置された物件を「わがままハウス」と名づけ、物件オーナーから事情を聞き取り、条件に合った使い手を探す「わがままハウスプロジェクト」を始動。
「わがままハウスプロジェクト」では、「建物に愛着があるのでこのドアだけは残してほしい」「成長の記録として刻まれた大黒柱のキズあとは残してほしい」「物置として使っているので、一部屋だけは荷物部屋にしておきたい」「数年間は使わないが、5年後は売るかもしれない」といった様々な要望を登録し、その条件でも借りたい人や買いたい人とのマッチングを図る。
「わがままハウスプロジェクト」では、「地域の子どもたちのために使ってほしい」「高齢者の居場所として活用してほしい」「これからを担う若者の支援に活用できないか」など、地域に貢献したいオーナーの想いも受け止め、地域活動の担い手とつなげていく。
また、「カフェとして使ってくれる人」「子ども食堂として使ってくれる人」「パン屋として使ってくれる人」など、使い方についての条件を提示することも可能。小さな要望も条件も「わがまま」として登録できるので、気軽に申込みが可能だ。リノベーションまちづくりの先進地と言われる草加市の特色を生かし、物件オーナーの想いと借り手の想いを結びつけていくことで、草加市にしかできない手法で地域課題解決につなげる。
マンションの空室や空き地も登録可能
これまで、草加市の空き家バンクは空き家や空き店舗のみを対象としており、利用者についても一般的な売買や賃貸を目的としたものに限定していた。
また、草加市の不動産市場は地方と比べるとまだまだ活況であり、通常の売買や賃貸を目的とした場合、行政の運営する空き家バンクにわざわざ登録するメリットがあまりなかったことから、運用を開始した2019度からの登録件数は累計5件で、活用されていない状況が続いていたという。
そこで「わがままハウスプロジェクト」の開始に合わせ、空き家バンクを通称「わがままバンク」と命名し、サイトをリニューアル。様々な条件付きの物件も掲載できるように変更し、対象についても空き家や空き店舗だけでなく、すべての建物(マンション等の空室含む)や空き地も登録できるようにした。
同プロジェクトでは、関係各所と連携してマッチングを図るほか、インターネットを通じて物件を公開することで、利用希望者を広く募る。
「わがままハウスプロジェクト」の名前の由来
「我が儘(わがまま)」は本来、「自分の思うままに振る舞うこと」という意味だが、このプロジェクトでは「わがまま」をポジティブに捉え、「我がまま」＝「我が＋まま」＝“私らしいまま”ということから、「あなたのままでいい」「あなたの理想をカタチにする」「我が(私の)ままに生きる＝自分らしさの肯定」といった意味合いで使用している。
また、わ(輪・和)＋がまま(そのまま)ということから、「和を大切にしながら、自分らしさもそのままに」「輪の中で自分の個性を大事にする」といった意味合いもあり、貸し手であるオーナー側も借り手や買い手側もお互いの想いを尊重し合い新たな価値を創造する、そんな新しいカタチを目指して「わがままハウスプロジェクト」と名づけたという。
草加市の空き物件に関する新たな取り組み「わがままハウスプロジェクト」をチェックしてみては。
わがままハウス詳細：https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1806/PAGE000000000000082842.html
(yukari)
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