神戸市では、認知症の人やその家族が、安全・安心に暮らし続けることができるよう、社会全体で支える取組みとして「認知症神戸モデル」を、2019年から実施している。
9月は認知症月間。「認知症神戸モデル」とは
国の調査によると、65歳以上の高齢者の3人に1人(約28%)が認知症や軽度認知障害(MCI)と推計されているそう。超高齢化社会において、認知症問題は全国的な課題となっている。
そこで神戸市では、認知症の人やその家族が、安全・安心に暮らし続けることができるよう、社会全体で支える取組み「認知症神戸モデル」を2019年から実施。
「認知症神戸モデル」は、“認知症で特に大切な早期受診を支援する「診断助成制度」”と、“認知症の方が事故を起こした場合に救済する「事故救済制度」”の2本柱からなる。
「自己負担ゼロ」で認知症診断が受けられる
神戸市が2019年1月~スタートした診断助成制度は、65歳以上の高齢者が医療機関での2段階の認知症診断を自己負担ゼロで受診できる制度。5月末時点で、認知機能検診(第1段階)をのべ約9.1万人の方が受診しているという。
第1段階で要精密検査と判断された場合、第2段階の認知機能精密検査で認知症かどうかと病名を診断。第1段階の医療機関から紹介状が発行されるため、第2段階の精密検査の受診につながりやすい仕組みとなっているのが特徴だ。
認知症と診断された人には事故救済制度を紹介し、2024年4月からは、認知症新薬の投薬可否を診断する検査費用への助成も実施。なお、65歳未満の人に対しては、専門医療機関で認知症や軽度認知障害(MCI)と診断された場合に、精密検査費用の助成がある。
事故救済制度「賠償責任保険」
2019年4月~スタートした事故救済制度は、認知症の人が事故を起こした場合に救済する制度で、現在は無料で受けられる「5つの安心」から成り立っている。
認知症の人のうち、事前登録した人の保険料を市が負担して、市が「賠償責任保険」に加入。認知症の人が事故を起こして賠償責任を負った場合(家族が監督義務者として賠償責任を負った場合も含む)に、最高2億円の保険金を支給するという仕組みだ。なお、自動車事故は対象外となる。
また、認知症の人が交通事故に遭って死亡または後遺障害を負った場合に、最高100万円の保険金を支給。
事故救済制度「見舞金(給付金)」
認知症の人が起こした事故で被害に遭った人に、市が最高3,000万円の「見舞金(給付金)」を支給する。なお、自動車事故は対象外だ。
これはすべての市民が対象で、事前登録は不要。認知症の人の賠償責任の有無は不問のため、誰も賠償責任を負わない場合も被害者救済が可能だ。
事故救済制度「専用コールセンター」
事故が起こった際、24時間365日対応の「専用コールセンター」が事故対応等の相談に応じる。
事故救済制度「GPSサービス」
認知症の人が行方不明になるのを未然に防ぎ、行方不明時に早期発見するため、GPS端末を貸し出すサービスを行っている。
GPS端末の初期費用に加え、2025年7月からは月額利用料の半額を市が負担。なお、かけつけサービスなどのオプションサービスの一部は利用者負担となる。
事故救済制度「みまもりシール」
8月から、認知症の人が行方不明になった時に、迅速な身元確認・保護につなげるため、衣服やかばんに貼ることができる「みまもりシール」を、希望者に1人20枚ほど無料配布している。
1人あたり「年間400円」で手厚い支援を実現!
認知症は、加齢によって多くの人がなり得る病気だ。そのため神戸市は、財源は若者を含めた社会全体で分かち合うことが望ましいと考えている。
「認知症神戸モデル」に必要な費用として年間約3億円は、個人市民税均等割(年間3,000円)に上乗せした超過課税(年間400円)により、広く市民に負担してもらう形で実施。福祉目的の超過課税の取組みだ。
オレンジライトアップ
9月21日(日)の「世界アルツハイマーデー」に合わせて、神戸市は認知症の普及啓発のシンボルカラーであるオレンジ色のライトアップを行う。
9月19日(金)~21日(日)はハーバーランド大観覧車がライトアップ。
9月21日(日)の「KOBEライトアップDAY」には、明石海峡大橋など市内17施設でオレンジライトアップが実施される。
神戸市はこれからも、赤ちゃんから高齢者まで、誰もが笑顔で安心して暮らせるまちづくりに取り組んでいくという。この機会に「認知症神戸モデル」についてチェックしてみては。
(オガワユウコ)
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