【愛媛県西予市】江戸時代から昭和のひな人形300体がズラリと並ぶ「卯之町のひなまつり」開催

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愛媛県西予市・宇和民具館にて、2月1日(土)~4月3日(木)に「卯之町のひなまつり」が開催される。

江戸から昭和の時代に飾られた300体以上の人形が並ぶ同イベントでは、ひなまつりの歴史や記念撮影なども楽しめる。

時代ごとに並ぶ300体以上のひな人形

愛媛県西予市・宇和民具館は、江戸時代末期から昭和初期にかけて実際に使用されていた民具約6,000点を収蔵展示している博物館。時代と生活の変化にともない、今では見られなくなった生活用具のほか、看板や商売道具など、当時の文化や生活を感じられる品々が収蔵されている。

館内は、常設展示室・収蔵展示室・企画展示室に分かれており、1階には昔懐かしい土間や和室も設置されている。1年を通してさまざまなイベントも行われる宇和民具館。2月1日(土)~4月3日(木)は、「卯之町のひなまつり」を開催する。

日本の四季を彩る五節句のひとつで「桃の節句」とも呼ばれるひな祭りは、女の子の成長と健康を願う行事のこと。その歴史は古く、平安時代中期に人形(ひとがた)に自分の厄を移して川や海に流す風習から始まったという。それから長い月日を経て、ひな人形を飾るスタイルが定着したのは江戸時代中期のころ。以降、現代にいたるまで女の子のお祭りとして、ひな人形が飾られ続けてきた。

時代によってさまざまなひな人形が流行したが、今回「卯之町のひなまつり」で展示されるのは、大正時代から昭和にかけて西日本で流行した「御殿飾り」や昔話をモチーフにした「変わり雛」など300体以上。


展示物の中から、変わり種をいくつか紹介しよう。まず、宮中・将軍家・大名など奥向きに使えた女中人形「時代風俗衣装人形(奥女中)」は、おひな様と一緒に飾って楽しまれていたもの。


「変わり雛」は、大正時代~昭和初期ごろには、おひな様と一緒に飾るのがブームになった。「卯之町のひなまつり」には、外国や遠い世界へのあこがれから戦前に好まれたという『浦島太郎』の「変わり雛」が飾られる。


こちらは、つづらを背負ったおじいさんと雀の娘の人形による『舌切り雀』の「変わり雛」。


また、粘土を焼いて色を付けた「土雛」も江戸時代から飾られていたもので、同まつりでは昭和初期に作られたものが展示される。

美しい意匠が施されたひな人形が並ぶ光景には、思わずうっとりと見入ってしまいそう。おひな様と一緒に記念撮影ができるコーナーもあるので、ぜひ利用してみて。

時代ごとの人形を見比べられる展示となっており、さらに民具との組み合わせも意識した「宇和民具館」ならではのこだわりもさすがだ。

ひなまつりの歴史や雑学の紹介コーナーも設けられており、見て楽しむだけでなく時代を超えて続けられてきたひなまつりの知識を深めることもできる絶好の機会となっている。

変化に富んだ大地が生み出す自然と歴史の街

愛媛県南部に位置する西予市は、2004年に東宇和郡の宇和町・野村町・城川町と西宇和郡三瓶町の五町が合併して誕生した市。同年には、四国横断自動車道・西予宇和インターチェンジが開通し、県南部の拠点として人・物の交流が盛んな地域だ。

県下でも広大な土地を有する同市は、海抜0mから1,400mの地理的に恵まれた地でもあり、海から山まで富んだ自然は、太古の地層がむき出しになった「須崎海岸」、白い石灰岩が羊の群れのように見える四国カルストの風景など、独特の景色を作り出してきた。

多彩な風土が生み出す特産品も多く、三瓶の「ニューサマーオレンジ」、肱川(ひじかわ)水系「宇和川」の上流に形成された標高200mの「宇和盆地」の水田で作られる「宇和米」、明浜の「段畑みかん」、野村町の「シルク」や城川町の「和栗」など、その種類の多さは県内でも群を抜くほど。

また、江戸時代から宇和島藩随一の在郷町・宿場町として栄えた卯之町には、当時の風情をそのまま残した町屋や土蔵が軒を連ねる。2009年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された同町は、西日本最古級の小学校「開明学校」や、昔ながらのかまどや洗濯板を使った炊事・家事体験ができる、明治時代に建てられたという商家「旧武蔵」、古い建造物を活用したカフェなどがあり、昔の面影が色濃く残った街並みと雰囲気を楽しむことができる。

今回、「卯之町のひなまつり」が開催される「宇和民具館」も、歴史と往年の暮らしを伝える卯之町にある施設だ。

長きにわたり文化と歴史が受け継がれてきた魅力あふれる街で、ぜひ女の子の健やかな健康と成長を願う「ひなまつり」を祝ってみては。

■卯之町のひなまつり開催概要
開催日時:2月1日(土)~4月3日(木)9時~17時
会場:宇和民具館
※ 月曜日は休館日。月曜日が祝日の場合は火曜日休館
住所:愛媛県西予市宇和町卯之町3-106
入館料:一般 700円/大学生・高校生 420円/中学生以下 無料
※ 開明学校の入館料も含む
詳細:https://seiyojikan.jp/event/r7-unomachi-hinamatsuri

(Kanako Aida)

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