【東京都八王子市】八王子の素材から生まれた楽器で奏でる「Kinonオーケストラ」が八王子芸術祭で演奏

ⓒMakoto Ebi

八王子市在住のパーカッショニスト・永井朋生氏による、八王子の素材で楽器を創作する10年間の音響彫刻「Kinon」の旅プロジェクト。

八王子芸術祭の開催年は「Kinonオーケストラ」として、八王子の素材から創作した楽器を使った特別なコンサートを行う。「八王子芸術祭2025」での「Kinonオーケストラ」開催日は12月7日(日)で、観覧は無料だが事前予約が必要だ。

音楽・アート・地域を結ぶ「Kinon」の旅プロジェクト

音響彫刻「Kinon」の旅プロジェクトは、八王子芸術祭から生まれた、音楽・アート・地域を結ぶ10年間のプロジェクトだ。

パーカッショニストの永井朋生氏が八王子の木材や絹、廃材など地域に根ざした素材を使い楽器を制作。2年ごとに市内の異なる地域を巡り、新しい音を探求していく。制作された楽器は、地域の人々と共鳴し、その音は「音のあしあと」として八王子の公共空間に刻まれていくだろう。

同プロジェクトでは、活動を通じて新たな音文化が地域に根付き、八王子の魅力が国内外に広がっていくことを目指している。

2023年に始まった八王子芸術祭は、地域の歴史・自然・文化を背景に、その土地に染み込むアート作品を、その土地の旧工場跡や古民家、屋外施設や公園など多彩な会場で展開している。

美術・音楽・演劇に加え、ワークショップやトーク、パフォーマンス、地域とともにまちを盛り上げる「マチイロProject」など、多様なプログラムを実施。

訪れる人は「旅人」として、八王子の風景や時間に触れることのできる祭典だ。

今回は、ストリングラフィ演奏家の鈴木モモ氏と、ボーカリストの行川さをり氏を仲間に迎え、地域のテーマに深く関わる「絹の太鼓」や「絹糸」、工業地域を象徴する鉄などを用いて、この土地ならではの音を奏でていく。

第1期芸術祭の高尾地域で制作した木材の楽器に加えて、第2期となる今回は「織物」をテーマに、絹糸を張った太鼓や工場の鉄を活かした楽器なども登場する。

上の写真は絹の布を取り付けた太鼓に、絹糸を張った楽器。

上の写真は対象地域の工場からもらった鉄。これが楽器になる。

第1部は、乳幼児も参加可能な子ども向けコンサートで約45分。楽器に触れながら、子どもも楽しめる内容だという。

第2部は、小学校高学年以上推奨の大人向けコンサートで、約90分だ。

永井朋生氏はパーカショニスト・作曲家。東京芸術大学大学院を修了した。世界各地で出会った素材から音を見つけ、自ら楽器から制作。独自のコンセプトに基づいて、ソロやバンドでの国内外ライブ活動および、TV、映画のサントラ制作をする。

「スター・ウォーズ：ビジョンズ」Volume 3(2025年)の音楽では、パーカッションを担当。音響彫刻「「Kinon」の旅プロジェクト監修・楽器制作・作曲を担う。

鈴木モモ氏は、ストリングラフィ演奏家。日本発のオリジナル楽器「ストリングラフィ」を用い、音の多様性と視覚的な要素を生かして唯一無二の空間を創っている。

音楽家、美術家、朗読とのコラボレーション、WS、サウンドスケープを用いた実験的プロジェクトを展開。また、自身の夢を綴った本「夢を見たのです」を元にした展示とパフォーマンスなど、夢と現実の境などをテーマにライブを行っている。

行川さをり氏はボーカリスト。声は言葉を奏でる楽器と位置づけ、様々な言語での歌唱を行う。また、即興的なアプローチも得意とし、音階や楽器といった枠から放たれた音の感性を大事にしている。2025年10月日枝神社「月の宴」、12月ヨハネ受難曲2025に参加した実績をもつ。

「八王子芸術祭2025」では、「Kinonオーケストラ」で八王子の素材から生まれた楽器の音を楽しんでみては。

■「八王子芸術祭2025」概要
開催期間：11月8日(土)〜12月7日(日)
定休日：水曜日
会場：中野・大和田・小宮・石川および周辺複数会場
公式HP：https://hachioji-arts-journey.com

■「Kinonオーケストラ」開催概要
開催日：12月7日(日)
会場：八王子市立第八小学校体育館
「Kinonオーケストラ」参加申し込みページ：https://select-type.com/ev/?ev=8iYw8eZKSig

音響彫刻「Kinon」の旅プロジェクト詳細：https://hachioji-arts-journey.com/kinon

(佐藤ひより)