【群馬県桐生市】彫刻家・写真家・和紙制作会社・金属工芸家・高精細印刷がコラボした展示会開催!

LOCAL


群馬県桐生市の「ギャラリー 象(かたち)」にて、2月1日(土)~10日(月)の期間、彫刻家・写真家・和紙制作会社・金属工芸家・高精細印刷がコラボした「和紙に映した彫刻の世界 〜 彫刻と和紙と鉄と」を開催中だ。

共創によって生まれた「作品」を展示

彫刻家・丸尾康弘氏が大胆な彫り跡でつくる、繊細でやさしく、あたたかい彫刻。かつて、東洋文化研究者のアレックス・カー氏は、丸尾氏を「現代の仏師」と表現した。

その作品のひとつひとつが異なる表情で見る人の心をとらえるが、作家の手を離れた作品を、多くの人は見ることができない。


そこで、「丸尾康弘の彫刻の魅力を多くの人へ届けたい」という想いから、丸尾彫刻の世界観を撮影し、伝統ある因州和紙に高精細な技術によって印刷して、



鉄の板から作られたシンプルなフレームに額装。

ハル(縦660mm 横480mm 厚さ20mm)


それは一般的な印刷物の額装品ではなく、温かさと冷たさとが対比する「新たな作品」と呼ぶにふさわしいものになったとのこと。

ボク(縦468mm 横347mm 厚さ15mm)


アーティスト・フォトグラファー・クラフトマンの協創によって生まれた「作品」だ。

ひつじっこ(縦337mm 横250mm 厚さ15mm)


現在開催中の「和紙に映した彫刻の世界 ~ 彫刻と和紙と鉄と」では、それらの作品を展示。

Photo:狩野博賢

展覧会場では、丸尾康弘氏の過去の作品の中から、展示品と同様の和紙額装をするオーダーも受け付けている。

協創額装の制作メンバーを紹介

協創額装の制作メンバーを紹介しよう。

プロデュースは、明治時代に法務局として使われていた築130年の建築を改装して、「ギャラリー象」を開設した丸尾万象氏。美術に興味のない人でも、ふらっと立ち寄れて、気軽に触れられる空間を目指した本物志向のギャラリーとして運営している。

2022年2月のオープン依頼、毎月展示を変えて年間約12回の展覧会を開催。今回の協創活動では、分野の異なるクリエイターを結びつけて新たな作品として完成させた。

彫刻家・丸尾康弘氏は、東京造形大学で彫刻家の佐藤忠良氏に師事。現在は熊本県と群馬県にアトリエを構え、「自然と人間の共生」をテーマに、人物や動物をモチーフにしながらも抽象的な精神性を感じる作品を制作している。

因州和紙制作は、中原商店が担当。

鳥取県、因州。豊かな大地が育てる原料に恵まれ、紙質を高める清流が流れる土地で1300年以上前から和紙が作られており、その伝統ある因州和紙に、彫刻作品の高精細印刷を行なった。

和紙の凹凸に印刷することで奥行き感が表現でき、因州和紙のにじみの少ない技法により顔料インクの定着や色合い表現の幅が広がるとのこと。印刷用には表面コーティングを行っている和紙が多い中、因州和紙は表面コーティング無しで高精細な印刷を実現しており、作品の経年変化の少なさや耐久性が保たれている。

写真制作を行ったのは、狩野写真事務所の狩野博賢氏。群馬県桐生市を拠点に活動する写真家で、丸尾康弘氏の彫刻作品を長年にわたって撮影している。


鉄フレーム制作は、群馬県伊勢崎市を拠点に、精緻な金属加工品の制作を行っている、gambitの浅見俊輔氏・浅見己道氏が担当。

今回の作品の鉄製フレームは、一枚の鉄板に窓を開け、側面に鉄の板を溶接して制作。貼り合わせの隙間や溶接による歪みは一切なく、極めて高い平面性と美しい質感のシンプルなフレームとして完成させた。シンプルな物を完成度高く作るという難しい命題を見事に実現している。

印刷ディレクションを行ったのは、キヤノンでプロダクトデザインに長く従事する、DESIGN TAZAの𠮷原功氏。印刷機器事業部の製品デザインを担当している中で因州和紙と出会ったという。

数年にわたって鳥取県へ通い、和紙への印刷技術開発を推進。キヤノンの設計技術者と連携しながら印刷の完成度を高めた。和紙への印刷の際は、原料の厚さや毛羽立ち、色合いの再現性を考慮しながら調整を行っている。

企画は、DESIGN TAZAの石橋正昭氏。𠮷原功氏と同じく、キヤノンでプロダクトデザインに長く従事しており、2024年にDESIGN TAZAを設立した。

自社製品のデザイン開発を通して、日本のものづくり技術者とともに感動のあるものづくりを推進。40年以上にわたって丸尾彫刻を見続ける中で、和紙のあたたかさとの親和性を感じ、𠮷原功の和紙印刷と結びつけた。

彫刻家・写真家・和紙制作会社・金属工芸家・高精細印刷によって完成した作品を見に、「ギャラリー 象」に足を運んでみては。

■和紙に映した彫刻の世界 ~ 彫刻と和紙と鉄と
会期:2月1日(土)~10日(月)
※4日(火)・5日(水)は定休日
時間:11:00~18:00
会場:ギャラリー 象
住所:群馬県桐生市本町1-1-3
Instagram:@katachi.kiryu

(佐藤ゆり)

タイトルとURLをコピーしました