京都市の老舗洋食店「グリルにんじん」が、店舗の存続をかけてクラウドファンディングを開始した。
1978年に創業した父親の跡を継ぎ、現在、店を営むのは長男の近藤太地さん。物価高騰や人手不足など店舗継続の課題に直面している。先代である父親の理念を守りながら店を続け次世代につなげていくため、今回、クラウドファンディングへの挑戦を決意した。
創業45年の老舗洋食店「グリルにんじん」
「グリルにんじん」は、1978年に先代が創業して以来、長く地域に愛され続けてきた老舗洋食店だ。価格よりも質を重視し、手間暇かけた本物の味を追求する。そうした本格洋食を多くの人に届けることを信念とした店で、「マスターの料理が好きだった」「あの味に何度も助けられた」と、店を訪ねる客は後を絶たない。
現在の店主である近藤太地さんが店を継いだのは30歳の頃。大学卒業後、一度家業を離れたものの、父親が「もう続けられない」と言ったのをきっかけに、店を継ぐ決意をしたと言う。
当時の経営は厳しく、建物の老朽化や経営の課題が山積み。それに加え、洋食業界はフレンチやイタリアンの影に隠れ、働き手も見つからない状況であった。父親は職人気質で頑固。経営改革を提案しても「これが俺のやり方だ」と譲らず、衝突が絶えなかったと言う。それでも「自分を育ててくれた店を守りたい」という思いが強く正式に継承した。
その後、何度も困難に直面したが、34歳で子供が生まれたことを機に法人化し、経営を立て直してきた。現在、「日本伝統の洋食文化を京都から世界へ広め、日本の食文化の未来に貢献する」という理念のもと、経営を続けている。
寡黙で不器用な職人であった父
現在、創業者である77歳の父親はホスピスに入院し末期癌の治療中。
店主の近藤太地さんは「朝6時から夜10時まで、365日休むことなく厨房に立ち続ける父親の姿を見て育ちました。」と言う。「父は寡黙で不器用な職人でした。それでも、『手間暇かけた本格的な洋食を、リーズナブルでスピーディーに、そして毎日でも食べてもらえたら』という思いを貫き、料理には絶対的な誇りを持ち、最高の洋食をできるだけ多くの人に届けることに人生を捧げました。しかし、接客は得意ではなく、経営のことは二の次。お金の管理には無頓着で、周囲とのコミュニケーションも決して円滑とは言えませんでした。」と近藤さん。
今回のクラウドファンディングへの挑戦を通じ、父の理念を守りながら店の未来を支えたい。
そして、4人の子どもたちをはじめ、父の培ってくれた日本の洋食文化を次世代へつなげていきたいと想いを語る。
クラウドファンディングのリターン
リターンは、来店が可能な方には食事券、遠方の方にはワインやグッズが準備されている。また、企業等には洋食弁当のデリバリーのリターンがあるため、社員への福利厚生として使っても良さそうだ。
京都の老舗洋食店「グリルにんじん」の存続のため、クラウドファンディングに参加してみては。
■グリルにんじん
住所:京都府京都市左京区一乗寺出口町51−2
営業時間:ランチ11:30~L.O.14:00(CLOSE14:30)/ディナー17:00~L.O.21:15(CLOSE22:00)
定休日:火曜、第3月曜(祝日は営業)
総席数:45席
公式サイト:https://www.grill-ninjin.com
CAMPFIRE:https://camp-fire.jp
プロジェクト名:父が守り続けた京都・老舗洋食店「グリルにんじん」を未来へつなぐ
(熊田明日良)