【青森県旧脇野沢村(むつ市)】日本の奥深さに気づかせてくれる土地だった

LOCAL

青森県旧脇野沢村(むつ市)

日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。

今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。

「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。

今回は、青森県旧脇野沢村(むつ市)を写真とともに紹介する。

Vol.412/青森県旧脇野沢村(むつ市)

下北半島の南西部に、ひっそりと佇んでいた村がある。旧脇野沢村だ。2005年に合併によりむつ市になるまで、約116年続いた村。2100年ごろ、日本のまちがどうなっているかなんてわからない。だから、大局的に見れば、土地の歴史が100年同じように続いているのは、とてもすごいことだ。

同じくむつ市の、旧川内町を訪れたときも、「ここに暮らしが広がっているのだ」という新鮮な気持ちで満たされていた。ただ、さらに下北半島を西へ進み、旧脇野沢村の中心部でカーブを曲がった瞬間、「わあ」と思わず声が出た。昔のままだ、と思ったのだ。地面から建物、電柱、空まで、目の前に見えているものすべてに、昔の面影が残っている。そして、無駄なものがない。必要だからつくられ、不必要だからといって壊されなかったものが、目の前にあった。

脇野沢のフェリーの港

変わらない景色だ

脇野沢支所

奥の山地は津軽半島

九艘泊へやって来た

ほんとうに、変わらない時間が流れていた

中心部からさらに西へ7km進んだ先にある「九艘泊(くそうどまり)」も向かってみた。ネットの地図で見ても分かるけれど、ほとんど下北半島の南西のカドである。そして、今まで出会ったことのない漁村が広がっていた。真新しいコンクリートの道の先に、タイル調の古い道路がつなぎ合わさっていて、古い漁具や集落が佇んでいる。これほどまでに、変わらない時間の流れがあるのか……。地元の方々にとっての暮らしの土地であり、あまり長居はするべきではないと思って、スッと出発した。最果ての先にも、人々の暮らしがあることを知った。

日本はつくづく広い。奥が深い。そのことをすべて知る必要はないけれど、その奥深さの根底に触れてみることは大切なことのように思う。その果てしなさの中に歴史があり、美しさがあり、忘れてはならないものがあるということを、私は五感のままに感じるばかりである。

(仁科勝介)

写真家プロフィール

仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247

  

  

The post 【青森県旧脇野沢村(むつ市)】日本の奥深さに気づかせてくれる土地だった first appeared on ストレートプレス:STRAIGHT PRESS - 流行情報&トレンドニュースサイト.

タイトルとURLをコピーしました