世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、世界のネコ科動物の生息地保全や密猟対策など野生ネコを守るための寄付キャンペーン『WILD CATS その瞳に映る危機』を、9月1日(月)より、WWFジャパンウェブサイトにて開始した。
世界の野生ネコ科動物の約75%が危機的状況に
生物多様性の豊かさは、1970年以降の約50年間で73%も失われている(※1)。生物多様性をかたちづくっている野生の生きものたちも減少し続け、野生のネコ科動物たちも、その影響を強く受けている。
現在、世界で確認されている野生のネコ科動物は39種だが、そのうち約75%(※2)が、絶滅の恐れが高いもしくは個体数が減少傾向にあるなど危機的な状況に置かれている。これは、陸上に生息する他の食肉目に分類される動物と比較しても、際立って高い割合だ。
この危機的な状況の背景には、さまざまな環境問題が存在する。農地や植林地の拡大による生息環境の減少・分断のほか、毛皮・骨・牙などを目的とした密猟も大きな要因だ。
また、家畜を襲う害獣として捕殺されるケースや、気候変動(地球温暖化)による生息環境の急激な変化も、ネコ科動物の生存を脅かす原因となっている。
『WILD CATS その瞳に映る危機』キャンペーン
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年に設立された。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっている。
9月1日(月)より開始した寄付キャンペーン『WILD CATS その瞳に映る危機』は、世界のネコ科動物が絶滅の危機に瀕している状況とその原因が、さまざまな環境問題にあることを多くの人に知ってもらい、その解決に向けて活動を続けるWWFジャパンへの支援を呼びかける目的で実施する。
WWFジャパンでは野生のネコ科動物を守るため、主に密猟対策や生息地保全、そして野生動物と人の共存に関する取り組みを国内外で行なっている。
密猟を防ぎ、草食動物を復活させる
たとえばタイでは、「密猟を防ぎ、草食動物を復活させる」活動を実施。密猟のパトロールや違法な罠の撤去活動を支援するなどし、特にトラの獲物となる草食動物の個体数の回復と生息範囲の拡大をめざしている。
イリオモテヤマネコを育む湿地生態系を再生させる
日本では「イリオモテヤマネコを育む湿地生態系を再生する」活動を行う。
これは、沖縄県西表島の浦内川流域にあった廃村の水田跡地に池を再生し、保全参加型エコツアーで活用しながら、さまざまな生きものが暮らす豊かな水辺環境を取り戻す活動などを実施するというもの。イリオモテヤマネコの生息を支える湿地の再生に取り組んでいる。
人の暮らしとともに野生動物を守る
インドでは、「人の暮らしとともに野生動物を守る」活動を実施。西ヒマラヤでは、放牧された家畜に食草を奪われ、野生の草食動物が減少しており、これを獲物としていたユキヒョウなどの肉食動物が家畜を襲うようになり、害獣として駆除される問題が起きている。
そこでWWFは、頑丈な柵の設置など、家畜への被害防止策の支援などを通して、野生動物と人の暮らしの両方を守り、共存を実現しようとしている。
そのほかの活動詳細については、公開中のキャンペーンサイトで確認可能だ。
WWFジャパンの自然保護室・若尾慶子氏は、「今、ネコ科動物の多くが絶滅の危機に瀕しています。これは地球規模の自然環境の劣化を意味します。野生ネコたちを守ることとは、つまり、その生態系を保全するということです。
野生ネコたちの瞳に映るのが、迫りくる危機ではなく、どこまでも続く豊かな自然であるように。そう強く願いながら、WWFは野生ネコの生息地保全など各種活動を続けています。」と話す。
まずはキャンペーンサイトで、『WILD CATS その瞳に映る危機』をチェックしてみては。
「WILD CATS その瞳に映る危機」キャンペーンサイト：https://www.wwf.or.jp/campaign/da_wildcats
※1 1970年から2020年までのわずか50年の間に、自然と生物多様性の健全性を測る数値「生きている地球指数(Living Planet Index：LPI)」が73％減少。出典：WWF『生きている地球レポート2024』
※2 国際自然保護連合(IUCN)の レッドリストのカテゴリーでCR、EN、VUとされる(＝絶滅危惧種)19種、および、絶滅危惧種ではないが、個体数が減少傾向にある10種を含む
(オガワユウコ)
The post 危機的状況にある野生ネコを守りたい！WWFジャパンが寄付キャンペーンを開始 first appeared on ストレートプレス：STRAIGHT PRESS - 流行情報&トレンドニュースサイト.
