【東大阪】スナック未満、でもちょっと背伸び。【ジャンカラ ディープ布施店】

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場末の渋さとは良い意味で異なる、「ここなら大丈夫」という安心感が迎えてくれる。

場所はジャンカラ・ディープ布施店。そこにあるのは、スナックのようで、でもちょっと違う、“スナック風カラオケ喫茶”という不思議な空間だ。

お酒がなくてもいい。十八番がなくてもいい。拍手ひとつで、見知らぬ誰かと繋がれる。そんな、優しい社交場。知らないまま通り過ぎるには、ちょっともったいないかもしれない。

いつものジャンカラじゃ、ないらしい。

東大阪・布施。近鉄の駅を降りてすぐ、見慣れたジャンカラの看板でありながら、ちょっと雰囲気の違う趣がある。「ディープ布施店」。その響きだけで、なにか面白いことが起きそうな気がする。

中に入ると、スナック街のような看板が並ぶ廊下。実はこれ、全部カラオケ個室の看板らしい。「じゅて~む」「スナックカッパドキア」…名前だけで、ドラマのような世界観に引き込まれる。

そして、店の中央に構えるのが、“スナック風カラオケ喫茶”。ここは、ジャンカラが提案する“新しい大人の遊び場”なのだ。

歌でつながる、不思議な空間

店内には、コの字型のカウンター。中央にはステージがあるわけじゃない。誰かが歌えば、それをぐるりと囲んだお客さんが自然と耳を傾ける。拍手が起こる。頷きが交わる。たった一曲で、知らない人とも気まずくない。

「十八番とかなくていいんですか?」と聞くと、常連の女性が笑ってこう返してくれた。「知らん歌の方が盛り上がることもあるしね。反応を試す、みたいな」

スナックと聞くと、なんとなく構えてしまう。でもここは、あえて肩書きを脱がせてくれる場所。誰もが一瞬で“顔なじみ”になれるような空気がある。

知らないはずの場所が、なぜかやさしい。

そもそも、スナックという文化は「紹介」があってこその世界だった。どこか敷居が高くて、入るには勇気が要る。

 

でもこの場所は違う。ジャンカラという看板があるだけで、安心感がある。お酒を頼まなくてもいい。ドリンクバーだって使える。「おごる」とか「口説く」とか、そんな儀式がなくても成り立つスナックなんて、ちょっと不思議で、でも心地いい。

しかも、料金はいつものカラオケと同じ。初めての人も、財布の心配なしに飛び込める。

スナックは、“夜の公園”だったのかもしれない

たとえば昔、公園のベンチで知らないおじさんに話しかけられて、なぜか少し話が弾んだ、みたいな夜があった。このカラオケ喫茶にも、あの時と似たような“夜の不思議な出会い”がある。

歌に合わせて手拍子をする人。ちょっと遠慮しながら、でも確実に居場所を見つけていく人。誰かの歌に笑い、誰かの話にうなずきながら、ちょっとずつ心がほぐれていく。

ここは「誰かの店」ではなく、たまたま集まった人たちでつくる、その瞬間の“場”なのだと思う。それって、もしかすると、スナックの本質なのかもしれない。

ちょっと背伸びして、大人の夜にまざってみる。

本来、スナックは昭和の大人たちの居場所だった。でも今は、平成生まれも、Z世代も、ほんの少しの好奇心でこの場所に足を踏み入れる。

お酒は飲めなくてもいい。歌がうまくなくてもいい。ただ、誰かと同じ時間を、少しだけ分け合うだけでいい。“スナックっぽい”が、“ちょうどいい”。そんな新しい形の夜が、布施にはあった。

ライター紹介

SEKAI HOTEL Deep Osaka Experience(SEKAI HOTEL 大阪布施)
東大阪・布施商店街の空きテナントを客室にリノベーションし、近隣の飲食店や銭湯での”日常”を旅の一部として楽しむ「まちごとホテル」。観光地では味わえない、まちの日常の魅力を発信しています。
公式HP:https://www.sekaihotel.jp/area/fuse
Instagram:https://www.instagram.com/sekaihotel

    

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