キクヤが手がける「つばめと風」が、丹波篠山の黒大豆と栗を使った2種のタルトを発売

兵庫県内でギフトショップなどを展開しているキクヤは、3月に自社開発の菓子ブランド「つばめと風」を立ち上げ、タルト菓子の販売を開始した。

地元名産品で洋菓子を開発

キクヤが立ち上げた菓子ブランド「つばめと風」では、市内の名産品である黒豆「丹波黒」のパウダーを練り込んだ、「丹波篠山黒大豆とチーズのタルト」と、丹波地方の丹波栗パウダーを練り込んだ「丹波篠山黒大豆と丹波栗のタルト」を販売中。

2種のタルトで幅広い世代へのアプローチを目指している。

「丹波篠山黒大豆とチーズのタルト」は、原料に丹波篠山市産黒大豆とチーズを使ったこだわりのタルト。

上層にはチーズが、下層には丹波黒のパウダーが練り込まれており、黒大豆とチーズのハーモニーを愉しめる。

「丹波篠山黒大豆と丹波栗のタルト」は、原料に丹波篠山市産黒大豆と丹波地方の丹波栗を使ったタルト。

上層には丹波栗のパウダー、下層には丹波黒のパウダーが練り込まれており、丹波地方の恵みを贅沢に使用した風味豊かなスイーツに仕上げられている。

いずれも兵庫県丹波篠山市の特産品「黒大豆」パウダーを使用。

サクサク生地のタルトの中に、口どけの良い2層のチョコクリームを入れて焼き上げられている。

価格はどちらの商品も同一で、4個入り/1,000円(税込)、8個入/1,944円(税込)。

「つばめと風」オンラインショップ、キクヤECショップ「デリバリーディライト」のほか、兵庫県・阪神間のお土産物処や宿泊施設を中心に販売中だ。

兵庫県丹波篠山市は、大粒の黒豆で知られる「丹波黒」発祥の地であると言われている。

黒豆栽培の歴史は古く、少なくとも約三百年前には作られていたそうだが、今は名産品としての存続が危ぶまれつつあるのだとか。

丹波黒を枝豆(若さや)として食べる方法は、昔から地元では知られていた。しかし、某グルメ漫画で紹介されたことをきっかけに、一気に認知度が向上。今では10月になると、市内が多くの観光客で溢れかえるようになっている。

一方で枝豆の人気に反比例して、黒豆の収穫量は減少傾向だそう。さらに、黒豆になるのを待たずに枝豆として販売する農家の増加、昨今の気候変動による不作、黒豆農家の高齢化や後継者不足などにより、ここ数年の収穫量が減ってきている。

創業51年のキクヤは、古くからギフト業・葬祭業を軸に展開している会社だが、数年前より黒豆を中心とした加工品の卸販売業を開始。ちょうどその頃は、新型コロナウイルスの蔓延により従来の葬儀の形が制限され、家族を中心とした少人数の葬儀が主流になっている時期であった。

葬儀の単価は半分近くになり、香典返しなどのギフト需要は激減。同社は、会社の今後を支える新たな柱が必要だと強く感じていた。

同社は、名産品を扱うビジネスを始めたことで、今までとは違った視点で町を見るようになり、観光客の数や天候が気になるように。また、黒豆の収穫量不足など地域の抱える深刻な問題の内情が伝わってきたことで、市民として名産品を守っていきたいという想いも芽生えるようになったという。

そして同社は、名産品を圧迫しすぎない形で使用し、枝豆の季節以外にも丹波篠山市に関心をもってもらえる、そんな商品開発ができないかと考えるようになった。

そんな中で同社は、同業の知人の紹介で製菓メーカーの担当者と縁ができた。同氏は、日本全国各地の売れ筋のお土産物を中心に、多数の製造・開発に関わる製菓メーカーの担当者でもあり、デザイン会社も加わり二人三脚で開発に向けて動き出した。

実は同社は、以前にも他社で洋菓子のサンプルを何度か作ってもらったことがあったが、製造ロット・価格・賞味期限のいずれかで条件が合わなかったそう。今回打ち合わせを重ねる中で、なんとか条件が合致したことで開発に至った。

開発にあたり、丹波黒の風味をどう生かすかと考えた時に、豆の味が出すぎていると結果的に洋菓子全体のハーモニーを崩してしまうと感じていたそう。

「黒豆を使っているから良い」ではなく、あくまでも「美味しいお菓子」になるよう追及していった。

商品名についてもデザイナーと何度も話し合い、タルトの名前を全面に出さずにコンセプトやイメージを商品名に決定。

丹波篠山をのびのびと自由に飛び回るつばめが、爽やかな風に乗って美味しいお菓子を遠くまで運んでいく、素朴でのどかなイメージがブランドネームに込められている。

デザインも素朴で可愛いイラストにすることで、今まで黒豆の煮豆や枝豆を買ったことのない層にもアピールできるのではと期待している。

名産品を守っていきたいという想いが込められた、「つばめと風」こだわりのタルトを、いち早く味わってみては。

(丸本チャ子)