【石川県】震災を越えて未来へ。箔一が「一本杉 川嶋」の器を金継ぎでよみがえらせる試みを実施

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石川県金沢市に本社を置く箔一は、2024年1月に発生した能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県七尾市の料理店「一本杉 川嶋」の器を対象に、金継ぎによる修復支援を行っている。

単なる義援金ではなく、職人の技を通じて文化を未来につなぐ取り組みとして位置づけられるこの活動は、同社が始めた新しい支援の第一弾だ。

能登の食文化を支える「一本杉 川嶋」の試練

七尾市にあった「一本杉 川嶋」は、能登の四季を映し出す料理と、それに使われる器の美しさで多くの食通たちに愛されてきた料理店。

伝統的な器や魯山人・永樂といった名工の作品を用いることで、料理を芸術の域へと昇華させてきた。


しかし、2024年元日の震災で状況は一変する。築九十二年という有形文化財だった店舗は外壁が壊れ、壁はねじ曲がり、解体を余儀なくされた。

さらに、修業時代から集め大切にしてきた数百点の器も大きな損傷を受けたという。


震災後、川嶋氏は地域の炊き出しや復興支援に尽力。

自分の料理で能登を支え続け、その活動が一区切りついた2024年8月、箔一の社長が今回の支援を申し出た。


川嶋氏は。「やり切ったあとで、気持ちが沈んでいた時期だった。あの一本の電話に涙が出ました。」と心境を振り返る。

被災者であると同時に、支援者でもあった料理人の心に寄り添いたい。そんな思いから、箔一は「器に新たな命を吹き込む」金継ぎという文化的な支援を選んだ。

命と同等に大切な器の修復


2024年12月、川嶋氏から箔一に届けられた器は、なんと段ボール5箱分にもなったそう。その中には、正月に使う予定だった辰年の器や、深い思い入れがある名品も含まれていたという。

川嶋氏は、大切にしてきた器たちへの特別な思いを「器は、出会いそのもの。もう二度と手に入らない」そう語る。


箔一では、文化財の修復も手がける職人が、一つひとつの破損した器と向き合い、心を込めて金継ぎを施している。


金継ぎは、ただの修復ではない。割れた部分を漆で接着し、金粉などで仕上げる日本の伝統技術で、器に新しい物語を刻み直す特別な技法だ。

この金継ぎの完成は、10月を予定している。

一本杉 川嶋氏の歩みと再建への道


石川県七尾市に店を構えていた「一本杉 川嶋」は、能登の食材と器の調和で訪れる人に感動を与えてきた日本料理の名店だ。その技術と審美眼は高く評価され、ミシュランガイドにも掲載された実績を持つ。

8月時点で店舗営業を休止しているが、店主は全国各地のイベントや食の場で料理を振る舞いながら、2027年の再建に向けて前進中だ。また、器とともに紡いできた物語を大切にし、地域の食文化再興に取り組んでいる。

今後の展望

修復された器は再び料理とともに使われ、訪れる人々にその背景の物語を伝えていく予定だ。箔一は今後もものづくりを通して地域の職人や作り手と連携し、持続可能な文化支援を継続していくという。

金継ぎを経て未来へとつながれていくこの活動に、今後も注目してみては。

箔一公式HP:https://www.hakuichi.co.jp

※「ミシュランガイド」は、日本ミシュランタイヤ株式会社の登録商標です。

(丸本チャ子)

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