高知の菓子工房「カゴノオト」、1年仕込みの贅沢なシュトーレンで売上186%を達成

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高知県の小さな菓子工房カゴノオトは、2025年上半期の売上が前年比186%を記録した。

シュトーレンだけじゃない売上伸長の理由

風景に恋をした小さな菓子工房カゴノオトは、地域の生産者と共に創り上げる“1年を誇りに思えるシュトーレン”「1年かけた四万十の旬でつくるシュトーレン」を製造。1年かけて作る1本1万円のシュトーレンは、1年前からの予約購入者を中心にリピーターに長く愛されており、2025年上半期の売上は前年比186%を記録した。


売上の伸びを支えたのはシュトーレンだけでなく、季節のタルトや焼菓子といった日常のおやつとして親しまれる商品が好調だったことが挙げられる。これに加え、地域イベントや都市部での対面販売を積極的に行ったことで新しい顧客接点が増加した。


その中で出会った人々が1年かけて仕込むシュトーレンに共感し、予約につながるケースも増えている。


シュトーレンというお菓子はもともと保存食で、熟成を楽しむものでもある。12種類の素材が時間をかけてひとつにまとまっていく味わいは、他のお菓子では再現できないもので、それがリピーターに支持される理由の一つだ。

また、認知が広がったことにより、県内外から田園風景の中に位置する工房を訪れる客も増加している。オンラインや口コミで広がった人気が、地元と都市部の両面で支持を得ることにつながっている。

1年かけた仕込みの製法


カゴノオトの出発点は、高知の土地の風景だった。その風景の中で育つ素材を1年かけて集めてつくるシュトーレンは、市販のドライフルーツや食品添加物を使わず、生産者から直接仕入れた果物を仕込むところから始まる。


果物の仕込みが始まるのは1年前の冬からだ。柚子は粗糖に漬け込み3か月かけて皮に甘みを浸透させコクのある味わいに仕上げ、ブルーベリー、いちごはセミドライにして味を凝縮させ煮込んでいく。


ひとつひとつの素材の個性を活かすには、現場を訪れ、生産者さんの声を聞き、素材の持つ特徴に耳を傾けることは欠かせないという。そうして、ひと月ごとに素材を仕込み、クリスマス時期に1年分・12種類の素材を使ったシュトーレンを焼き上げる。

そもそもシュトーレンは市販のドライフルーツを使えばもっと簡単に、早く作ることができるものだが、これほど時間と手間をかけた作り方をするメーカーは他にない。

手間を惜しまない製法に込めた、風景への「恋」


なぜ、こんな作り方をするのか。その理由をカゴノオトは「風景に恋をしたからに他なりません」と語る。

朝早くから畑に立ち、作物と向き合う生産者は魅力的で、その丁寧な仕事は四季折々に豊かな風景を生み出している。その風景を担う素材を預かり、シュトーレンにして届けることは、誇らしいと同時に想いの詰まったバトンを受け取ったように感じるという。


だからこそ、手間を惜しまず正直に素材と向き合う方法を選んだ。

食品添加物で味を補ったり、賞味期限を引き延ばしたりするのではなく、素材そのものの力を信じる。誰もやらない作り方かもしれないが、だからこそやりたい。それを商品として届けていくことで、恋をした風景を次へつないでいきたいと思っている。

シュトーレンの先に届けたい「誇れる価値」


高知の自然や日々の営みに魅せられ、そこで育つ素材をシュトーレンへと仕立ててきたが、そのシュトーレンには作り手だけでなく、食べてくれる人への敬意も込められている。

生産者はひたむきに作物と向き合う1年を過ごし、都会で暮らす方も物価の上昇や暑すぎる夏を乗り越え、仕事や日々の課題に向き合い誠実に時間を積み重ね1年を過ごしている。都会も地方も関係なく、そうした日々の営みに敬意を感じ、それこそ誇れる価値のあるものだと考えている。


「1年かけた四万十の旬でつくるシュトーレン」という名前には、効率化やスピードが求められる時代に、時間をかけることの意味をもう一度見つめ直したい、という願いが込められている。東日本大震災をきっかけに東京から高知へ移り住み、都会と地方の両方の視点を持ったことで、それぞれの時間の大事さに改めて気付かされたからだ。


どの人の時間も、どの1年もかけがえのないもの。カゴノオトは、その一人ひとりの営みを讃え、食べる人が「今年もよくやった」と自分を誇れる瞬間を届けたい。その気持ちが、未来の風景を作ることにつながると信じている。


こうした想いと地道な取り組みが評価され、昨年書いたプレスリリースはPR TIMES「プレスリリースアワード2025」101選にも選ばれた。これはカゴノオトの取り組みだけでなく、生産者、お客さん、カゴノオトに関わる多くの人のおかげだと心から思っているという。


手間を惜しまず、正直に向き合い、日々を誇りに思えるものづくりが、これからもっと広がっていくことを願い、今年も小さな工房から全国へシュトーレンを届ける。

この特別なシュトーレンを今年のクリスマスに味わってみては。

■カゴノオト
住所:高知県高岡郡四万十町土居6
営業時間 木・金・土 10:00〜16:00
公式サイト:https://www.kagonote.com
公式Instagram:https://www.instagram.com/kagonote

(丸本チャ子)

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