
かなざわざが企画運営する奥能登農耕文化ツアー事務局は、12月4日(木)・5日(金)の2日間、石川県珠洲市にて、ユネスコ無形文化財である農耕儀礼「あえのこと」を執り行う。
同プロジェクトでは、年々「あえのこと」の慣習が薄れつつあるなかで、珠洲市高波地区の納屋と、ボランティア拠点であるインスタントハウスを舞台に、「あえのこと」を復元と変容の2つの形で行う。
奥能登の伝統的な農耕文化「あえのこと」
「あえのこと」とは、一年の豊作の感謝と来年の豊作祈願をするため、田の神様を家に迎え入れ、食事やお風呂でもてなすこと。2009年にはユネスコの無形文化遺産にも登録された、奥能登の伝統的な農耕文化だ。
浦野さん、岡嶋さん両家とともに実施
今回執り行われる「あえのこと」は、忠実に伝承されてきた珠洲市若山町の田中家の内容をもとに、震災後でも実現可能な形での実施となる。

12月5日(金)14:00~「あえのこと」を執り行う1人目の継承者は、珠洲で50年以上農業を営む浦野政行さん。浦野さんは神事で使用する米俵も作っている。震災で母屋は全壊し、現在は仮設住宅で暮らしている浦野さん。祖父の代までは、「あえのこと」を執り行っていたそうだが、なんとなくの記憶しかないという。

母屋が全壊したため、「あえのこと」は母屋の隣りの納屋で執り行う。

同日15:00~「あえのこと」を執り行う2人目の継承者は、震災直後から珠洲にボランティアで入り、現在、金沢と2拠点生活を行う岡嶋健市さんだ。週の半分は金沢でデザイナーとして働き、珠洲ではボランティア活動、ボランティアキャンプ運営をしながら有機米の栽培・販売を行っている。

岡嶋さんが「あえのこと」を執り行う場所は、ボランティアキャンプ施設の一角に建てられたインスタントハウス。名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと同大学院による産学連携協定にて開発した新しい構築物だ。珠洲の海のすぐ側にある。
田の神を祀る年間儀礼

柄振り祭の祭壇
「あえのこと」では、5月の田植え前に「柄振り祭」、

庭祭りの直会
5月の田植え後に「庭祭り」を2025年同プロジェクトで実施。9月の稲刈り後に行う「刈り上げ祭」は11月23日(日)に簡易的に実施予定。

神迎え(震災前/珠洲市/田中家)
12月5日(金)には「神迎え」(無形文化遺産登録されている部分)、2026年2月9日(月)には「神送り」(無形文化遺産登録されている部分)を実施予定だ。
プロジェクト実施の背景
時代技術の進化や生活様式の変化により、能登で「あえのこと」を行っている家庭はほとんどないとされている。また、能登半島震災により、珠洲で厳格な形式で「あえのこと」を行っていた田中家も執り行う場を失った。
「あえのこと」が持つ「自然への畏敬」と「感謝の心」は、口頭伝承という形で受け継がれてきたが、その民間儀礼の実践は、現代の多忙な生活の中で年々困難さを増している。
同プロジェクトはこの農耕儀礼を、単なる古いしきたりとしてではなく、「震災からの復興と、文化を未来へつなぐ希望の象徴」として位置付けている。
特に、全壊した母屋の隣りの納屋や、被災地でボランティア拠点となったインスタントハウスを舞台にすることで、「あえのこと」が場所や形式に依存せず、人々の心とともにあることを証明し、「現代社会で継承可能な新たな文化財保全モデル」を提示する。
かなざわざは、金沢大学の観光デザイン学科の学生2名とともに、珠洲に伝承される「あえのこと」の儀礼を研究。50年前の資料や、震災前まで儀礼を執り行っていた田中家への取材に基づき、儀礼の精神性を最優先した「短縮プロトコル」を確立した。
この新たな継承モデルを浦野さん、岡嶋さん両家に伝え、今回の「あえのこと」を実施する。
「アエノコトin珠洲」概要

「アエノコトin珠洲」の見学と直会は、12月5日(金)14:00~17:00に実施。
参加費は5500円だが、震災時に珠洲市在住だった人は3300円。募集人数は12名。現地集合、解散となる。宿泊希望者は別途5500円(朝食込み)が必要だ。
直会では、神様のお下がりと日本料理富成による「あえのこと膳」を用意する。申し込みは下記参加申し込みフォームより受け付けている。
なお、前日の4日(木)より「オハナ迎え」「お箸迎え」となる準備を行う。見学を希望する人は別途連絡を。
この機会に「アエノコトin珠洲」に参加してみては。
■アエノコトin珠洲
場所:石川県珠洲市三崎町高波カ部46
参加申込:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSerBHRPEp36_0J2BE3U2DnnKUQe1TPoJOYATxbSrFt4olf0Rg/viewform
かなざわざHP:https://kanaza-waza.com
(さえきそうすけ)
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