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西山翠嶂《東山晴雪》 (部分) 20世紀 前期展示
京都生まれ京都育ちのライターが、京都のイベント情報をお届け。今回ご紹介するのは、京都市嵯峨嵐山文華館で開催中の企画展「アイラブ百人一首」。百人一首の聖地として知られる嵯峨嵐山で、四季折々の景物に感動し歌を詠んだ歌人に思いを馳せてみては。
百人一首をテーマとした展覧会
1000年以上も前から歌枕として詠まれ、愛されてきた嵯峨嵐山の風景。京都市嵯峨嵐山文華館は、この地で誕生したと伝えられる百人一首の歴史やその魅力と、日本画の粋を伝えるミュージアムだ。
この京都市嵯峨嵐山文華館で開催中の「アイラブ百人一首」は、小倉百人一首競技かるたのオールスター戦「第6回ちはやふる小倉山杯」(2月23日開催)で嵐山が盛り上がるシーズンにあわせて企画された展覧会。百人一首に詠まれた景物を思い起こすような、近世から近代にかけて描かれた日本画の数々が展示されている。
第1章では、平安時代以降の宮中風俗を描く作品を展示
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土佐光貞 《伊勢大輔》(部分)18世紀 前期展示
第1章では、和歌が盛んに詠まれた平安時代以降の宮中風俗を描く作品を展示。絵画の中の人物たちが過ごす空間、服装、年中行事の様子などから、当時の雰囲気を身近に感じることができる。
気軽に百人一首の魅力に触れられるよう、同展では特別に制作した解説パネルを用意。和歌が詠まれた時代背景や画題についても、分かりやすく説明している。
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長沢芦雪《月夜紅葉図》 18世紀 前期展示
また、長沢芦雪《月夜紅葉図》、加山又造《おぼろ》などの、四季が織りなす自然美にあふれた絵画を、和歌の説明と共に紹介。春の咲き誇る桜や秋の照る満月を愛でるといった現代人にも受け継がれている心を、百人一首と日本画の名品とともに再発見できるだろう。
第2章では、恋心や親子愛、友愛を表現した作品を展示
第2章で主に紹介されるのは、恋心が巧みに表現された和歌と、キーワードとなる言葉などを視覚化した絵画。また、恋愛だけではなく、家族や友人などを愛おしく思う気持ちが込められた和歌にも焦点を当てている。
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菊池契月《六歌仙図屏風》(左隻/部分)20世紀 通期展示
菊池契月《六歌仙図屏風》は、古くから絵画の題材として扱われてきた平安時代を代表する歌人である、僧正遍照(そうじょうへんじょう)、在原業平(ありわらのなりひら)、文屋康秀(ふんやのやすひで)、喜撰法師(きせんほうし)、小野小町、大友黒主(おおとものくろぬし)を描いた作品。
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菊池契月 《六歌仙図屏風》(右隻/部分)20世紀 通期展示
契月は、明治から大正・昭和にかけて京都で活躍した。人物の生き生きとした容貌や細やかな装束の表現は、人物画に定評のあった画家ならではのものだ。
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上村松園《美人詠哥図》(部分)
20世紀 通期展示
このほか、上村松園《美人詠哥図》など、画題としても愛好された和歌をたしなむ女性像も見どころ。
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松村梅叟《ほほえみ》(部分)
1915年 通期展示
今も昔も変わらない、「誰かを愛おしく思う気持ち」を追体験できるような作品が揃っている。
「アイラブ百人一首」概要
「アイラブ百人一首」は、前期が2月1日(土)~3月3日(月)、後期が3月5日(水)~4月13日(日)に開催される。開催時間は10:00~17:00で、最終入館は16:30。3月4日(火)は休館日となっている。
作品点数は、通期22点、前期10点、後期10点、合計42点が展示される。初出の作品は4点となる。
嵯峨嵐山文華館は、JR山陰本線(嵯峨野線)の「嵯峨嵐山駅」下車徒歩14分、阪急嵐山線「嵐山駅」下車徒歩13分、嵐電(京福電鉄)「嵐山駅」下車徒歩5分のところにある。
料金は、一般・大学生が1,000円(900円)、高校生が600円(500円)、小・中学生が400円(350円)、幼児は無料、障がい者と介添人1名までは各600円(500円)。()内の料金は、20名以上の団体料金。
長きにわたり愛され続けてきた百人一首の魅力に触れる企画展、「アイラブ百人一首」に足を運んでみては。
■嵯峨嵐山文華館
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11
URL:https://www.samac.jp
yukari
京都生まれ京都育ちのライター。趣味はグルメ探索、旅行。