富山市ガラス美術館で台湾ガラス工芸作品の展覧会開催。台湾の豊かな文化・風土を表現

台湾の新竹市文化局が主催する「ひかり宿す・ひとひらの島－台湾イメージ・ガラス工芸展」が、11月8日(土)、富山県の富山市ガラス美術館にて正式に開幕した。台湾のガラス工芸作品が同館で展示されるのは、今回が初のことだ。

台湾ガラス工芸の美学を表現した、芸術の祭典
アーティストも駆けつけた開幕式
3つのセクションで構成
開催期間は11月18日(月)まで

台湾ガラス工芸の美学を表現した、芸術の祭典

「ひかり宿す・ひとひらの島－台湾イメージ・ガラス工芸展」では、新竹市立ガラス工芸博物館の収蔵作品20点とアーティスト10名による創作作品を展示。光と影、そして台湾の文化が息づく工芸の美学を表現し、芸術の祭典を繰り広げる。

アーティストも駆けつけた開幕式

「ひかり宿す・ひとひらの島－台湾イメージ・ガラス工芸展」の開幕式は熱気に包まれ、多くの地元のガラスアーティストも駆けつけたそう。富山市ガラス美術館の前館長・渋谷良治氏、富山ガラス造形研究所の所長・本郷仁氏をはじめ、アーティストの小曽川瑠那氏、渡辺愛氏、輪島明子氏、田部寬之氏、松尾里奈氏、そして台湾からガラス工芸家の林邑龍(リン・イロン)氏らが列席し、台湾と日本の深い友情を象徴する和やかな場となった。

李欣耀副局長(左)

新竹市文化局の李欣耀(リ・キンヨウ)副局長は、ガラスアートで知られる富山市訪問の光栄を述べ、隈研吾氏設計の美術館から富山市の奥深いガラス芸術の発展エネルギーを感じているとコメント。富山と新竹市はガラス産業の発展という歴史的な共通点を持つことに触れ、新竹市も現在、工芸・芸術といった高付加価値の領域への発展に尽力していると説明した。

さらに、1999年のガラス工芸博物館設立や、日本の支援を得て開催してきた「国際ガラス芸術フェスティバル」についても言及。ガラス産業100年の節目に富山市で展覧会を開催できることは望外の喜びであり、今後は富山市との継続的な協力メカニズムを構築し、日台双方のアーティストが共に成長していくことを強く願っていると結んだ。

「ひかり宿す・ひとひらの島－台湾イメージ・ガラス工芸展」のキュレーターを務める蕭銘芚(ショウ・メイトン)教授は、出品作品はすべて台湾をテーマとし、アーティストが様々なガラス技法を駆使して、豊かな文化と独自の風土を表現していると解説。

作品は、台湾のガラス創作技法の多様性を示すとともに、アーティストの土地と文化に対する感性と解釈を体現しており、台湾の離島・蘭嶼(らんしょ)の拼板舟(ピンバンヂョウ。カヌーに似た木造漁船)、桐の花、ビーフン、歴史的な城壁から山海のイメージに至るまで、台湾文化がガラスの光と影の中で流れ、受け継がれていく様子が表現されていると語った。

3つのセクションで構成

「ひかり宿す・ひとひらの島－台湾イメージ・ガラス工芸展」は、「在地風情(地域の風情)」「特色景物(特色ある風景)」「当代芸術(現代アート)」の3つのセクションで構成されている。

「在地風情」セクション＜新竹の地域文化＞では、邵尊漢(シャオ・ズンハン)氏の『歴史の石磚城之一』や、許源榮(シュイ・ユエンロン)氏の『風城米粉情』を展示。

『歴史の石磚城之一』は、ガラスのキャスティング(鋳造)技法で新竹・東門城の建築細部を表現し、書籍と組み合わせることで知識と歴史の蓄積を象徴。新竹(竹塹)築城170周年に敬意を表す作品だ。

『風城米粉情』は、引きガラス(ラフ・ストリンガー)の技法を用い、ビーフンの細やかな糸のような質感を再現。地域の食文化を温かみのある芸術言語へと昇華させている。

「特色景物」セクション＜台湾の自然と人文的特色＞では、鑲嵌(インレイ)技法で先住民文化の航海イメージを再現した、施英輝(シ・インホイ)氏の『蘭嶼の拼板舟』、釉薬転写とスランピング(曲げ)の技術で桐の花が舞い散る情景を描き、客家(ハッカ)文化の詩的な風情を表現した、蕭銘芚氏の『客桐吹雪美不勝収』を展示。

「当代芸術」セクション＜社会、信仰、心理状態への関心＞では、ブローイング(宙吹き)とキャスティング(鋳造)技法で社会構造の中の圧力と亀裂を形作り、体制に直面する現代人の心理的状況を反映した丁右尉(ディン・ヨウウェイ)氏の『穿孔』、サンドブラスト技術と象徴的な符号(シンボル)を通じ、人間性と生命に対する洞察と慈悲の心を表現した鍾錦堂(ジョン・ジンタン)氏の『慈悲之心』が展示されている。